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宮司愛海アナがスポーツと向き合い続けた4年間。スポーツが教えてくれた「人と、自分と、まっすぐ向き合うこと」 (2ページ目)

  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

救いとなったアスリートの言葉

 こうして大きな壁にぶつかりながらも、前に進むうえで私のなかで大きかったのは、現場にいる他メディアの方々の存在です。各競技のチームや選手の会見に行くと、顔なじみの記者の方や、素敵な質問をしているメディアの方がいて。もちろんライバル同士でもあるので、負けたくない気持ちはありました。ですが同時に、「自分もこういう取材ができる立ち位置まで行きたいな」という憧れも抱いていたので、彼らの存在は、私にとって頑張る原動力でもあったんです。

 このスポルティーバの連載が始まってからは、よりスポーツ記事を読むようになったので、記者の方を現場で見かけたら勇気を出して話しかけてみるようにもなりました。逆に皆さんからもさまざまな言葉をかけていただくことも増えました。"モノづくり"の観点では仲間でもあるので、その一員になって、スポーツ現場にしかない一体感を感じられたことはうれしかったです。

 現場経験を通して少しずつ学びを深めていくなか、やはり難しかったのはアスリートへのインタビューでした。特に会見だと、公開されている場なので、他の記者の方たちがいるなかで質問をしなければいけない。仲間としての意識はありながらも、「この子はどれぐらいわかっているのか」「しっかり勉強しているのか」と、日々試されているような感覚もありました。

 正直、26、7歳だった当時は「私なんかが聞いても......」と自信が持てず、「そもそも私は話をしたいと思われる人間なのか」と考えてしまうほど苦しんでいた記憶があります。それでも、自分はフジテレビのスポーツ番組のメインキャスターという看板を背負っていて、早く成長しなければいけない立場。だからせめて、その競技に精通しきれなくても、インタビューでは誠実な姿勢だけは感じとってもらおうと、毎回全力で臨んでいました。取材対象者から「この人は信頼できるな」と思ってもらえるように。

 その後、努力が実った、というわけではありませんが、ひとつうれしい出来事がありました。元号が平成から令和に変わるタイミング、『S-PARK』で、平成のスポーツの名場面を振り返る大型企画が始まったんです。そこで、各競技のレジェンド級の方々に、約40分〜1時間の長尺インタビューをさせてもらうことになりました。

 ただ、それだけ長くお話を聞くには、競技のことや相手のことをたくさん知っておかなければなりません。個人的には試される、力がつく企画だなと思い、しっかり事前準備をして臨みました。そのなかで、競馬界のレジェンド・武豊騎手にお話を聞いたのですが、インタビュー中に「よく勉強されていますね」と言っていただいて。それがすごくうれしかったです。「あぁ、こういうことがあるから頑張れるんだ」と思えて、とても励みになりました。こういったアスリートの方からいただいた「原動力になった言葉」は、心の引き出しにたくさんしまってあります。ずっと宝物にしていきたいです。

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