上村彩子アナ、スポーツ報道の原点は母への"怒り"。ノムさんが教えてくれたこと、サッカー日本代表の恐怖の取材も振り返る

  • 山本雷太●撮影 photo by Yamamoto Raita

ロシアW杯後の取材で感じた「現場主義の大切さ」

 さまざまな取材をしてきたなかで一番印象に残っているのは、2018年のサッカー・ロシアW杯。私が『SUPER SOCCER』を担当するようになり、試合現場にも足を運ぶようになって迎えた初めての大会でした。それまでのW杯はなんとなくテレビで見ていたくらいでしたが、現地で取材を重ね、知識も増えたうえで見ると本当に楽しくて。特に決勝トーナメント1回戦の「日本対ベルギー」戦は、いまでも鮮烈に覚えています。

 日本は後半に原口元気選手、乾貴士選手の連続ゴールで2−0と一時リードしましたが、そのあとに同点に追いつかれ、後半アディショナルタイムで3点目を献上。大逆転での敗北となりました。その3点目の高速カウンターを受けたシーンはものすごく衝撃的で、体の力が抜けてしまうほど悲しかったです......。

『SUPER SOCCER』キャスターとして、サッカーの現場を追いかけた上村アナ『SUPER SOCCER』キャスターとして、サッカーの現場を追いかけた上村アナこの記事に関連する写真を見る サッカーをひとつの競技として好きになり、日本を本気で応援できるようになったからこその悲しみや衝撃。勝った時の喜びも含めて、これほど一喜一憂できるようになるまでサッカーに向き合えたというのは、人生の中でも本当に貴重な経験だったなと思います。

 日本代表の選手たちが帰国したあと、成田空港のすぐ近くのホテルで、川島永嗣選手と昌子源選手にインタビューすることになったんです。ただ、担当ディレクターから聞いた企画内容は、ふたりにベルギー戦の試合映像を見てもらいながら最後の失点シーンについて解説してもらう、というものでした。

 視聴者の私ですらかなりのショックを受けたシーンを、当事者の選手たちに、しかも帰国直後に聞かなければいけないという......。もう気が重くて、車でホテルに向かう途中、友人にメッセージで「怒らせちゃったらどうしよう」と相談していたのを覚えています。

 実際に「こういう趣旨のインタビューをします」とふたりに説明すると、「えっ、いまこれを見るんですか」と驚きのあまり固まってしまいました。それもそのはずで、気持ちの整理がつくまで、逆転されたシーンはなるべく目に触れないようにしていたんだそうです。

 ただ、私たちが聞く意図、日本サッカーの未来につなげたいという思いを受け止めていただいて、ふたりはとてもつらそうな表情ではあったのですが、1プレー1プレー映像を止めたり、巻き戻しをしながらしっかり解説してくださいました。本当にありがたかったです。

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