上村彩子アナが見た柔道・阿部兄妹の素顔。詩選手のギャップにも魅力を感じた (2ページ目)
阿部兄妹の「兄妹同日金メダル」を会場で取材した上村アナ なぜこれまでメダルを見せてもらう機会がなかったのか聞いてみると、一二三選手が「自分が金メダルを獲ってから見たいと思っていました」と説明してくれて、続けて、「オリンピックを経験すると、連覇するすごさは相当なものだと感じます」と話していました。詩選手も「金メダルをひとつ獲るだけでも苦しいと思った自分が情けないです」と3連覇の偉大さを実感しているようでした。そして、そんなコメントをする詩選手のストイックさが印象的でした。
このインタビューは、阿部兄妹が野村さんに「連覇について聞く」というテーマでした。野村さんは「3連覇への道のりは常に辛かった」と振り返ります。「プレッシャーもどんどん大きくなるし、世界中からマークされ取り組みの厳しさも増していく。自分が求めた道だけれど、世界一になるための練習や心の持ち方は日々自分と向き合わなくてはいけないからものすごく苦しかったです」と語りました。しかし、その苦しいなかで勝ち獲る金メダルだったからこそ、幸せも何倍にも感じるのでしょう。
そして、野村さんは「ふたりともすでに世界トップレベルになっているから次に向け伸ばせるところは限られている。弱点を埋めていくとともに、伸ばせるところは伸ばしきりながら技のバリエーションを広げていくのが大切」と伝えたうえで、それぞれに技術的なアドバイスを送っていました。
一二三選手には「足技のバリーション強化と寝技の向上」を課題として挙げていました。背負投や袖釣込腰を得意とする一二三選手ですが、東京五輪に向けては足技を強化してきたそう。本番では初戦、準々決勝、決勝を足技で決めました。立ち技を磨ききり、足技のバリエーションを加え、そこにワンチャンスでの寝技もあるとなると「隙のない選手になれる」と。寝技については「詩(選手)に習ったらいい」と冗談まじりに話していました。
詩選手へは、「なんでもできるのですでに隙がなく、自分で考えられる選手だから言えることはない」と太鼓判を押しつつ、「あえて言うならば、袖釣込腰に入るふりをして大外刈りというような、フェイントがもっとうまくなればより強くなる」と助言していました。
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