狙うは金メダル。パラバドミントン里見紗李奈は車イスで「走る」 (2ページ目)

 それを前提にして、予測して準備を常にしないといけないですし、非常に頭を使うスポーツであると同時に、体幹の強さもかなり求められます。まさに超がつく難しさです。

 里見選手が考えるパラバドミントンの魅力は、前後の車いすの激しい動きの中にも繊細な横の動きもあり、細かな駆け引きがあること。とにかくやることが多いうえに、それをすべて手でコントロールしなければいけません。

 里見選手は今、21歳。競技を始めて、約2年半で2019年8月の世界選手権で初出場ながらシングルスで優勝。世界女王になりました。子供の頃は空手を4年間続けて、小学校の時に1年間バスケットボールを経験。そして、中学1年生から3年生の3年間、バドミントン部でプレーをしました。何か部活に入ろう!と思った時にバドミントンをプレーする女の子が可愛いと思ったことが入部の決め手になったそうです。その後、高校に進学してからはとくにスポーツはしていなかったのですが、高校3年生の5月に交通事故に遭い、車いすでの生活を余儀なくされてしまいました。
 
パラリンピックで金メダルを狙う里見紗李奈 photo by Araki Miharuパラリンピックで金メダルを狙う里見紗李奈 photo by Araki Miharu 最初は座るところからリハビリをして、車いすに乗る練習を始め、9カ月間の入院生活を送りました。担当医から「足は動きません」と告げられてからは、しばらく毎晩のように泣いていたといいます。それでも里見選手は、「そんなこと言ったって、リハビリや治療を頑張れば動けるようになる」と思い続けて懸命にリハビリに励んできました。

 そんな里見選手がパラバドミントンと出会ったのは、事故からちょうど一年後のこと。退院してからも、しばらくふさぎこんでいた里見選手を見かねたお父様が、パラバドミントンの練習に連れていき、それがきっかけでこの競技に取り組むようになったのです。

 車いすで外に出るのが最初は「すごく嫌だった」という里見選手。やはり「弱い自分」というマイナスの感情を持ってしまったそうです。それが、パラバドミントンで勝つことで成績が出始めると、自信がついてきて、車いすに乗る自分のことを気にしなくなったといいます。

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