昨日の友は今日のライバル。陸上男子短距離の競争から目が離せない! (2ページ目)

  • photo by Yamamoto Raita

 また、サニブラウン選手本人が、「(9秒台まで)あと0.03だったのでなんとも言えないタイム。世界はまだまだ化け物みたいな人が多いので、このままじゃ全然ダメ」と話すのをミックスゾーンで聞いた時は、目指しているレベルがもっと上なのだなと痛感させられました。さらに、9月の世界陸上について聞かれると「表彰台に上りたい」と答え、前回は逃した世界陸上の100m決勝に進むことが最終目標ではなく、その先の「メダルを取ること」を見据えているのです。

日本選手権100mの優勝はサニブラウン(中央)。2位は桐生(右)、3位が小池(左)だった。photo by Getty Images日本選手権100mの優勝はサニブラウン(中央)。2位は桐生(右)、3位が小池(左)だった。photo by Getty Images 大学からアメリカに行き、自分より速い選手たちとトレーニングを積むことがそうした考え方に影響をしているのだと思いますし、世界トップレベルを肌で感じているからこその発言。こうした環境という点について、2017年世界陸上の男子4×100mリレー銅メダルの藤光謙司さんがおしゃっていたことが印象的でした。

「海外に拠点という、僕らがやらなかったことをやっていてすごい。早く気づいて挑戦すべきだったかもとは思う。彼が新たな道を切り拓いてくれている」

 つまり、アメリカの大学に行くことや、海外を拠点にすることの準備を、中学、高校時代からしておくこと、その意識を早くから持っておくことが、これからはさらに重要になってくる。実際、サニブラウン選手は中学、高校の時から英語を勉強して準備をしていたといいます。

 サニブラウン選手は以前、『S☆1』のインタビューでこう言っていました。「Practice makes perfect」──。これはフロリダ大の監督がいつも言っていることで、練習の重要性を常に言われているそうです。こうした環境で自分の走りを突きつめているサニブラウン選手は、これからまだまだ伸びていくのだと思います。もちろん、日本国内でも、この先9秒台を出す選手が増えていくでしょうし、競争が激しくなって今よりもっと切磋琢磨していく環境がつくられていくはずです。そして、サニブラウン選手が結果を出し続けることで、日本の育成環境が刺激を受けてより良くなることも考えられます。

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