「27年ぶりのバイクに感動」視覚障がい者らがオートバイで疾走 青木治親代表は「心の底からうれしい」 (2ページ目)

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  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu


エンジンをかけて慎重に走る参加者たちエンジンをかけて慎重に走る参加者たち 視覚障がいのある板嶌憲次郎さん(53歳)は、声を頼りにハンドル操作し、最後はその指示だけで独走。障がいをまったく感じさせない走りを見せた。板嶌さんは額にうっすら汗を光らせながら、「今回は27年ぶりのバイクで、またがった瞬間に感動しました。本当に楽しかったです。僕は見えないので、真っすぐに走るところが難しかったです。スタッフの方が、右とか左とか言ってくれて走ることができました。2回くらいエンストしたのが恥ずかしかったですね(笑)」と笑顔で答えた。

視覚障がいがありながらも正確なハンドリングを見せた板嶌憲次郎さん視覚障がいがありながらも正確なハンドリングを見せた板嶌憲次郎さん 18歳の時に事故により左上肢麻痺の障がいを負った小山博幸さん(49歳)は、31年ぶりにバイクに挑戦。「乗る前から緊張していて、本当に乗れるんだろうかと半信半疑だった」と言うが、最後はひとりで走り切り、降車後はスタッフみんなとハイタッチして、喜びを表現した。そんな小山さんはこの日の体験に特別な思いで臨んでいたという。

「昨年、妻を亡くしまして、それから後悔を感じたりとか、もっとできたんじゃないだろうかとかと思って、どうしても前向きになれなかったんです。ただ、こんな状態だと亡くなった妻も心配するんじゃないかと思い、イベントに参加しました。これでひとつ目標ができましたから、これに満足しないで、次もイベントがあるのでそこに参加しつつ、サーキットで走ることも目標にしたいですね」

 晴れ晴れとした顔で答えてくれた小山さん。その傍らには奥さんの遺影が置かれていた。

奥さんの遺影とともにバイクに乗った小山博幸さん奥さんの遺影とともにバイクに乗った小山博幸さん

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