「27年ぶりのバイクに感動」視覚障がい者らがオートバイで疾走 青木治親代表は「心の底からうれしい」

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  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

平塚競輪場で障がい者向けのオートバイ体験走行会が開催された平塚競輪場で障がい者向けのオートバイ体験走行会が開催された

オートレーサーの青木治親氏が発足

『障がい者と健常者がいつでも一緒にオートバイで楽しめる環境を作る。叶わなかった健常者とのツーリングを楽しむ』ことを目標に発足された、一般社団法人SSP(サイドスタンドプロジェクト)が、3月12日に平塚競輪場で障がい者向けのオートバイ体験走行会を実施した。

 この活動の発起人であり同団体の代表理事を務めるのは、オートレーサーの青木治親氏。世界的に活躍した青木三兄弟の三男として知られ、1995年、1996年に2年連続でロードレース世界選手権GP125チャンピオンに輝き、オートレースでも2度GⅠ優勝を果たしている名ライダーだ。

 青木氏がこの活動を始めたのは、下半身不随の重傷を負い引退を余儀なくされた次男の拓磨氏に、再びオートバイに乗ってほしいという思いから。試行錯誤の末、下半身不随でも乗れるようにオートバイを改造し、2019年に22年ぶりに拓磨氏をオートバイに乗せることができた。このニュースが障がい者の希望となった。

「この模様を見た同じような境遇の方々から、どうやったらオートバイに乗れるんですかという問い合わせをいただきました。オートバイに乗れる環境があれば、みんな乗りたいんだなと感じて、この活動を始めました」(青木氏)

障がいを持つ4人がバイクに挑戦

 イベント当日は雨だったため、場所を平塚競輪場の大テント下広場に移して実施された。集まったのは、脊髄損傷、視覚障がい、左上肢麻痺の障がいのある合計4人。それぞれ一人ずつ、4つの補助タイヤがついた専用のバイクに乗って約30メートルの距離を10往復した。

 最初は恐る恐るバイクにまたがる参加者たち。まずは3往復ほどエンジンをかけずにボランティアスタッフたちに押してもらってバランス感覚を養うと、徐々に安定感のあるハンドリングを見せるようになった。そしてエンジンをかけて走り始め、最後には前方の補助タイヤが地面につくこともなく自分ひとりだけで走行。走りきった後にはスタッフたちからの大きな拍手が響いた。

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