スポーツ企業として異彩を放つ「パナソニックスポーツ」 5つのチームを運営する強みとパーパス

  • text by Sportiva
  • パナソニック スポーツ株式会社●写真

 そのために必要なことを「チームの成績アップも、ファンを増やすことも努力をし、しっかりと自分たちの価値を高めながら表現すること」と久保田氏は付け加える。

 日本のスポーツ界は、企業スポーツとして発展してきた側面が強い。企業側が社員の一体感醸成や広告宣伝として自社が持つスポーツチームを支援して成り立ってきた。久保田氏もそれを認識しつつ、「広告宣伝という物差ししかなかったら、(スポーツチームの)優先順位は低くなってしまう」と考えている。

「企業スポーツが悪いわけではないんです。例えばブランド部門や人事部門などの職能が管轄するとなると発想に限界があります。スポーツの活用法はたくさんあって、社会貢献はもちろんですし、BtoBの活用もできるし、リクルートにも有効。スポーツの持っている価値を総合的に見て、どの処方箋が一番効くかを考えることができるのは、パナソニック スポーツ(株)になったからです」

 さらに会社にしたことによって別の役割も見出している。現在は、サッカー、ラグビー、バレーボール、陸上、野球の5種の競技のチームを運営する立場であるため、「それぞれの競技をフラットに見ることができることによって、競技ごとのユニークさがわかりますので、逆に我々から各競技団体やリーグに提言させていただくとか、そんな役目もあるのかなと思っています」と複数の競技に関わるからこそ見えてくる課題解決方法を提示していきたいと考えている。

アジアに見つけたチャンス

 そんなパナソニック スポーツが今注力しているのは、パナソニック パンサーズのアジア戦略だ。9月30日(土)、10月1日(日)にはサントリーサンバーズ、ウルフドッグス名古屋を含めた3チームが主催となり、タイ・バンコクで「Panasonic ENERGY CUP」を開催した。その理由を久保田氏はこう語る。

「パンサーズのインスタグラムのフォロワーは現在5万4000人いるんですが、そのうちの1万数千人は東南アジアの人たち。多言語対応していないのにも関わらず、これだけの人がいて、それは他のチームも同じです。しかもうちで一番多いのがタイなんです。マーケットは当然大きいので、まずは3チームでリスクテイクして、テストマーケティング的な意味合いで開催しました」

 そして企業スポーツならではの利点も理由の一つだ。

「パナソニックは、タイに現地法人があって1万2000人の社員がいるんです。いきなりプロチームが行って、そこで試合をするわけではなくて、さまざまな協力をいただける素地を持った状態で開催できるのは、企業スポーツの強みです」

 実際、地元の強豪チームも含めた4チームでの争いに多くのファンが詰めかけ、熱のこもった応援が繰り広げられた。すでにこの成功を予測して、来年も東南アジアで開催しようと準備を進めている。

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