東京丸の内に架空の街が存在。三菱地所が手掛けるラグビーを活用した街づくりがなぜ人をひきつけるのか (2ページ目)

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 三菱地所は社全体として大会を盛り上げるべく、ラグビーワールドカップ2019プロジェクト推進室を立ち上げ、前述の『丸の内15丁目プロジェクト』のサイトを開設するとともに、さまざまなイベントを実施していった。その活動は「いわゆる協賛権益を買ってCMなどを放送するというものではなくて、街づくりに生かしていくこと」(高田氏)がコンセプトとしてあった。

 丸ビル内でのパブリックビューイングをはじめ、「ラグビー×公民館」と題してラグビー関連グッズの販売や書籍などの貸し出しなどを行なって人が交流できる場を設置したり、「ラグビー×アート」と題してラグビーにまつわるアートを街に展開したりした。また丸の内仲通り周辺にある飲食店約100店と協力してラグビーにちなんだメニューを考案してもらうなど、街も一体となって大会を盛り上げた。

 なかでも印象的だったのが、丸の内ラグビー神社だ。京都・下鴨神社の協力の元、丸ビルに隣接する位置に神社を建立。「ラグビーをやっている人だけではなく、家族連れだったり、外国の方だったりと、たくさんの方が参拝をしてくれたおかげで、ちょっとした聖地になっていました」(高田氏)。現在は岩手県釜石市の釜石鵜住居復興スタジアム近くに移設。ラグビーの街「釜石」にワールドカップ開催のレガシーとして残っている。

丸の内ラグビー神社(2019年当時)丸の内ラグビー神社(2019年当時)

 さらに三菱地所は、日本代表が史上初のベスト8進出を祝して開催された「ONE TEAMパレード」に特別協力。話が持ち上がった当初から打ち合わせに参加し、わずかな準備期間ながらも、丸の内仲通りでの実施に向け尽力した。約5万人の方々が沿道を埋め尽くしたパレードは大きな話題となり、高田氏も「丸の内にはこれまでなかった光景で、街づくりを担ってきた会社として非常にうれしかったですし、これまでのラグビー界にもなかった光景でしたので、その両面ですばらしい場になったなと思いました」と当時を振り返った。

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