レーシングドライバー小山美姫とバスケ渡嘉敷来夢が「挑戦」を語る
小山選手はさっそく渡嘉敷選手の試合を見に行くそう
身長193cmと160 cm──。その差、30 cmあまりというビジュアル的にも対照的な2人の女性アスリートが初対面を果たした。
1人は日本女子バスケットボール界の至宝、渡嘉敷来夢(とかしき らむ)選手(28歳)。2010年にWリーグの名門JX-ENEOSサンフラワーズに入団して以降、中心選手として前人未到のリーグ11連覇に貢献してきた。
一方で、2015年には単身アメリカのプロリーグWNBAに挑戦。シアトル・ストームに所属して、オールルーキーチーム(新人ベスト5)に選ばれるほどの活躍を見せた。日本代表としても2016年リオ五輪のエースとしてチームを20年ぶりのベスト8に導くなど、その存在感は絶大だ。
その渡嘉敷と対面したのが、レーシングドライバーの小山美姫(こやま みき)選手(22歳)。5歳のときにレーシングカートを始め、2015年からFIA-F4 Japan Championshipシリーズに挑戦して、今季もフル参戦中だ。
また、2019シーズンからスタートした女性によるフォーミュラカーの世界選手権「Wシリーズ」にも日本人としてただ1人参戦し、今季を総合7位の好成績で終えている。ヨーロッパで開催されたWシリーズは、世界中から18名だけがセレクションでレギュラードライバーに選ばれており、その狭き門を突破しての年間7位は大健闘といっていいだろう。
ジャンルのまったく異なる2人が顔を合わせたのは、ホンダがさまざまなスポーツのアスリートを支援する「#USLETE」プロジェクトの対談企画によるもの。「風は吹く、すべての挑戦者に。」というプロジェクトのスローガンの通り"挑戦"をメインテーマに話は展開した。
「挑戦することによって、新しい自分や、今まで味わったことがないものを味わうこともできる」(渡嘉敷)
「挑戦がある限り、成長があると思います。好きなことをやったほうがいいし、やめたければやめればいい」(小山)
そうした言葉からもわかるように、不思議なほど考え方や発想が似ている2人だが、どちらもこの先、とても大きな目標に向けての挑戦が待ち受けている。渡嘉敷にとって、それは来年に迫った東京五輪になるだろう。
「アメリカにいたとき、チームメイトに五輪の金メダルを見せてもらったんですけど、見るだけにして首にかけることはしませんでした」と話す渡嘉敷は、日本初のメダルは自分で勝ち取って首にかけるという気概に満ちている。
一方、小山にとっての大きな目標はとても高いところにある。
「夢は必ずF1ドライバーになることなので、そこに向かって成長できるようにしたい。Wシリーズは7位、FIA-F4でもトップをとれていない。クルマの性能が変わるので難しい部分もあるけれど、それはある意味、成長できる部分でもあるので、(シーズン残りの)あと2大会で結果を出して、いい報告ができるシーズンにしたい」(小山)
どんなに困難に思える目標であっても、挑戦しなければ何も起こらない──。競技も年齢も異なってはいるけれど、チャレンジすることの大切さについて、2人の女性アスリートはピタリと一致していた。