【書籍紹介】羽生結弦が生まれるまで日本男子フィギュアスケート 挑戦の歴史
日本男子フィギュアの隆盛は一日にして成らず──。
羽生結弦、宇野昌磨が世界のトップを争い、空前の人気を誇る男子フィギュアスケート。日本国内のみならず、海外でもファンがアリーナを埋め尽くし、ゴールデンタイムにテレビ放映され、その注目度は、羽生結弦の連覇がかかった平昌五輪で最高潮に。
しかし、かつて日本の「男子フィギュア」は地味なマイナースポーツで、試合会場は閑古鳥が鳴き、テレビも「女子」の添えもの扱い、取材するメディアもほとんどいなかった。
人気も関心もゼロに近い状態から、どのようにして日本男子フィギュアは今日の繁栄を築き上げたのか。髙橋大輔は、羽生結弦は、宇野昌磨は、いったいどこからやってきたのか。そこには、経験も情報もないなかで試行錯誤を繰り返し、並々ならぬ情熱をもって"世界の壁"に挑み続けた選手たち、指導者たちの「挑戦の歴史」があった。
1977年の東京世界選手権で銅メダルを獲得し、世界への扉を開けた佐野稔。4回転ジャンプを武器に、2002年のソルトレイクシティ五輪で表彰台まであと一歩と迫った本田武史。卓越した表現力で観客を魅了し、2010年バンクーバー五輪で銅メダルを獲得した髙橋大輔。2014年ソチ五輪で、日本男子フィギュアスケート初の五輪金メダリストとなった羽生結弦。そして、その羽生を追いかける若き俊英・宇野昌磨......。
それぞれの時代を創ってきた選手たちと、彼らを支え、導いてきた歴代の指導者たちに丹念な取材を重ね、これまで語られてこなかった事実や、隠されたドラマが明らかに。『Sportivaフィギュア増刊』の人気連載に新たな章を大幅に加筆、とくに羽生結弦については、ノービス時代から世界トップに上り詰めるまでを多彩な証言とともにたどっていく。羽生ファン、フィギュアファンはもちろん、世界に挑むスケーターたちの挑戦がすべての日本人の心を揺さぶる、第一級のスポーツノンフィクション。
【著者紹介】
宇都宮直子(うつのみや・なおこ)
ノンフィクション作家。『神様がくれた赤ん坊』(講談社)を上梓して、デビュー。それ以降、医療、人物、教育、スポーツ、ペットと人間の関わりなど、幅広いジャンルにわたって、執筆活動を行なう。なかでもフィギュアスケートの現場での取材歴は
20年以上に及び、スポーツ誌のほか、文芸誌や女性誌でもコラムを執筆。取材する選手への温かな視線には定評があり、そのルポルタージュ、エッセイを楽しみにしているファンは多い。
主な著書に『人間らしい死を迎えるために』、『ペットと日本人』『別れの何が悲しいのですかと、三國連太郎は言った』『日本フィギュアスケートの軌跡 伊藤みどりから羽生結弦まで』ほか、著書多数。
【書籍情報】
発行:集英社
定価:本体1600円(+税)
四六版 240ページ