『VIVANT』でブレイクの富栄ドラムが明かす撮影秘話「僕自身はスマホの文字入力が遅い」 (3ページ目)
――作中のドラムさんは日本語を話さない設定の役柄でしたが、演じる際に気をつけられた点は?
ドラム 監督からは「暗いシーンでも、みんなが笑顔になれるような表情でいてほしい」と言われていたので、それを常に意識しました。あとは力士のような動作や俊敏な動きを取り入れたり、動きで個性を見せられるようにいろいろと工夫もしました。
―― オーディションでドラムさんは「バク転」を披露しそうですが、その時も個性的な動きを見せようと?したんでしょうか。
ドラム 「太っていてもしっかり動ける」ことをアピールしようと思ったんですけど......オーディションで僕と同じ組になった190cmくらいある男性が、やたらと張り合ってきたんです。監督が「50mは何秒で走れる?」という質問に、隣の彼が僕より少しだけ速いタイムを言ってきたりしたので、「負けたくない」という思いが出てバク転になったのかもしれません。
ロケでアクションのシーンが近づくと、監督からは「お前の運動神経の見せどころだから頼むよ!」と声をかけてもらいましたし、オーディションのアピールも役に立ったんじゃないかなと思います。
――それ以外で、オーディションで印象に残っていることはありますか?
ドラム 僕は言葉を話さない役を演じることになりましたけど、オーディションの時にはモンゴル語のセリフを読む機会があったんです。僕が日馬富士関の付け人をしていた頃、日馬富士関が取り組みの前のルーティーンで歌う「母親に捧げる歌」を横で聴いていたので、モンゴル語には馴染みがあって。横綱が話すモンゴル語のイントネーションをイメージしながらオーディションに臨みました。
【堺雅人からもらったアドバイス】
――役の「ドラム」と「富栄ドラム」で、重なる部分はありますか?
ドラム 僕自身はスマホの文字入力が遅いのが違いますね(笑)。でも、それ以外は役作りがいらないくらい、実際の僕に近い役をいただいたと思っています。
――撮影中に共演者の皆さんから演技についてのアドバイスや印象に残っているやりとりはありますか?
ドラム 堺雅人さんには、「セリフをただ覚えるのではなく、"言葉の塊"を口で言えるようになることが大切だ」と声をかけていただいたり、本当に勉強になりました。山中崇(役名:アリ)さんからの 「役はもうひとりの人間の人生だから、それについて深く考えることが大切。自分がもらった役は、新しい人生と思うようにするといいよ」というアドバイスも印象に残っています。
他にも、ロケの時にみなさんからいただいた言葉を参考にして、演技のレッスン以外にも他の役者さんたちの芝居を見ながら、「自分ならどうやって演じるのか」を考えたり......ひとりでいる時に映画を見て、その映像を一時停止しながらセリフを声に出して言ってみたりと、芝居と向き合う時間が増えました。
――来年以降の目標はありますか?
ドラム まだ俳優としてのキャリアを歩み始めたばかりですが、相撲で培った身体の強さと運動神経を生かして、「アクションができる俳優やタレントになる」ことが目標になりました。おかげさまでバラエティ番組などにも出させていただきましたが、同時に、これまでは見えなかった部分でさまざまな努力が必要なことも知った。好きなことをやるために、楽しみながら努力を続けていきたいです。
(後編:力士時代に日馬富士の付け人として学んだこと、貴景勝の連勝を止めた取組>>)
【プロフィール】
富栄ドラム (とみさかえ・どらむ)
1992年4月11日 兵庫県生まれ。中学校を卒業後に伊勢ヶ濱部屋に入門。「冨田」として2008年春場所で初土俵を踏んだあと、四股名を「富栄」に変更する。最高位は東幕下6枚目(2018年11月)。ケガの影響などにより2021年春場所に現役を引退した。その後はYouTubeなどでのタレント活動を経て、俳優として『サンクチュアリ -聖域-』(Netflix)や『VIVANT』(TBS系)といった話題作に出演するなど、活躍の場を広げている。
【写真】『VIVANT』でブレイクの富栄ドラム インタビューフォトギャラリー
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