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「チャットGPT時代に必要なものとは?」 身につけておきたい「投資家的素養」  (3ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【今後、不要となる仕事が出てくる】

奥野「AIが人間を超えるというのはよく言われる話で、AIが人間よりも賢い知能を、自ら生み出すことが可能になる時点のことを、『シンギュラリティ(技術的特異点)』と言うんだ。まあ、これは人によって考え方が違うから、あくまでも先生の考え方ということで聞いてほしい。

 少なくともチャットGPTの現在のレベルで、シンギュラリティが実現する可能性は極めて低いんじゃないかな。さっきも言ったように、今の生成AIは言葉を単純にうまく回している仕組みにすぎなくて、全く新しいことを考え出したり、ある種の決断を下したりはしていないんだ。

 そしておそらくこれからも、人間が本来的に決断している部分について、AIが取って代わるようなことにはならないのではないか。したがって、シンギュラリティなんてことが起こる可能性は、極めて低いんじゃないのかな。

 ただ、チャットGPTをはじめとする生成AIが普及し始めたことで世の中が大きな影響を受けるのは確かで、たとえば確実にいらなくなる仕事も出てくるね。

 それはまずコンサルタント的な仕事。コンサルタント的な仕事って何かというと、何も決断せずに、『こんなものを作ってみたのですが、いかがですか』『そっちよりも、こっちのほうがいいと思うのですが、どうですか』みたいな提案をする仕事は、おそらく生成AIで十二分にこと足りてしまう。

 要するに、決断する人は必要だし、決断されたことを実行する人は必要だけれども、その間に立って何かを要約したり、整理したりする人、つまり中間管理職がいらなくなるということなんだ」

鈴木「うちの父親、部長です」
由紀「私の父も同じ」

奥野「もしも君たちのお父さんが、上から言われたことを下に伝えているだけのメッセンジャーだったら、早々にリストラ対象になってしまうかもしれないね。厳しい話だけど。

 で、おそらくチャットGPT時代の会社員に求められるのは、投資家的素養なんだ。

 さっきも言ったように、チャットGPTのような生成AIがビジネスの世界に広まれば、経営に必要なファンクションは『決断し、リスクを取ること』になる。

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