松田丈志が提言。「世界の進化は早い。日本も成長スピードを上げる必要あり」 (3ページ目)

  • 松田丈志●文・写真 text & photo by Matsuda Takeshi


 そのNCAAのルールのなかで、学業との両立をしながら限られた練習時間でトレーニングしてきたカリシュが大学を卒業した。水泳選手としてはこれからが成熟期だろう。今後、萩野や瀬戸が戦っていくカリシュはそういう選手だ。

 平井監督はレース後、萩野に「人間としての総合力」を高めて行く必要性を語った。なぜなら、彼はすでに競泳の世界では十分に秀でているし、経験も積んできているからだ。十分に秀でた選手だからこそ、ここからさらに選手として、人間として成長していくには、競泳のなかで新たな取り組みをしていくことや、競泳以外のフィールドでも自分の世界、可能性を広げていき、人としてのスケール感を大きくしていく必要性があるということだろう。

 プールの中で、すでに秀でた彼がさらに成長するためには新たな刺激が必要ということだ。私の経験からも、その方が競泳も楽しくなると思うし、人としても強くなるはずだ。

 カリシュと同い年で昨年大学を卒業しプロスイマーとなった萩野と、社会人スイマーとなった瀬戸は、これから競技以外のところでも自分の可能性を広げる段階に来たのだと思う。

「チームジャパンで戦う」ことの意味は、本番の五輪に向けて、もっと選手の成長のスピードを上げていくことと、本番でベストパフォーマンスできる確率を上げていきたい、というところに尽きると思う。

 今大会、銀メダルが4つ、4位が4つあった。当たり前だが、この順位がひとつずつ上がれば、すごいことになるわけだ。この「もう少し」の差を詰めていきたいところだ。

 今回、日本が金メダルを狙える可能性があった種目は男子の200m平泳ぎ、200m、400m個人メドレー、200mバタフライ、女子の400m個人メドレー、200mバタフライが挙げられるが、獲れなかった最大の理由は決勝で、自己ベストを更新できなかったことが一番大きい。

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