【駅伝】「山の神」神野大地監督が挑む2年目のシーズン――MABP、今季のトラックで「PB祭り」のワケ (3ページ目)
【また戦える集団になってきた】
実業団チームのなかには、選手が個々で練習しているところも多いが、MABPはこのヤビツの峠走をはじめ、チーム全体で練習することが多い。
「うちはまだ個別で練習を行なうというフェーズではありません。皆でモチベーションをつくってやっていくチームだと思っています。逆に個人にまかせて、『レースに合わせてきてね』という感じでやっていたら、今回のホクレンのような結果は出せなかったでしょう」
ホクレンでの「PB祭り」を受け、チームの士気は上がっているが、2年連続のニューイヤー駅伝出場に向けて、ここから大事な時期を迎えることになる。昨季はホクレンで危機感を覚え、チームがピリッと引き締まり、合宿を重ねて全体の調子を上げ、災い転じて福となした。今季はホクレンで結果を出せたが、それを今後にどう生かしていくのか。昨季とは異なるテーマに向き合うことになる。
「ホクレンで結果が出ましたが、ここで慢心したら予選(東日本実業団駅伝)で負けてしまうでしょう。自分たちのチームは80%の力で予選を通過できるチームではないので、目指す基準をしっかり上げて合宿や練習をやっていかないといけません。昨年と同じぐらいでいいだろうという考えでは、絶対に足元をすくわれます。ただ、昨年よりもいい状態で夏合宿に入れるので、慢心さえしなければ昨年よりも上を目指せると思います」
1年目の反省を生かしてチームの強化に取り組む神野だが、監督として2年目の今季はどんなことを心がけているのだろうか。
「特に大きな変化はありません。立ち上げ1年目の昨年は、箱根駅伝を走れずに大学を卒業した新卒組と、ケガなどで大舞台から遠ざかっていた移籍組が集まり、ひとつの目標に向かってやろうということでコントロールがしやすかった。そこで一体感が生まれ、いきなり東日本実業団駅伝で6位というとんでもない結果が生まれました。
今年もチームのまとまりはあるので、『やるぞ』『結果を出すぞ』と言い続けているくらいですね。『自分たちはやれる』と思うのはいいですが、1回達成したことで安心感が生まれてしまうのが怖い。そうならないように、これからも『甘くない』『しっかりやるぞ』と言い続けていきます」
11月15日の東日本実業団駅伝に向けて、すでにチームは夏合宿に入っている。その後も各地で合宿を行ない、最後に菅平で調整する流れは昨季と変わらない。「合宿ばかりですよ」と神野は苦笑するが、その明るい表情からは今後に向けての自信も感じられる。
「また戦える集団になってきたなと思います」
2度目のニューイヤー駅伝出場に向けた夏が始まった。
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著者プロフィール
佐藤俊 (さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)、「箱根5区」(徳間書店)など著書多数。近著に「箱根2区」(徳間書店)。
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