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【大学駅伝】駒澤大・藤田敦史監督が語る新チームの現在地 明るい材料と主力の足並みが揃わぬ危機感の狭間で (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Satoshi Wada

【主将・村上響を筆頭に奮起が期待される4年生】

 もうひとり、なかなか戦線に戻れずにいるのが、今季の主将を務める村上響(4年)だ。

 村上は今年の箱根では往路の4区をまかされたが、レース中に右足首を痛めてしまい、区間19位と振るわなかった。

「10kmまでは想定どおりのペースでした。後ろから鈴木琉胤君(早大)と辻原輝君(國學院大)が来ていて、鈴木君に追いつかれた時も、辻原君に追いつかれた時も、ついていくのかなと思ってみていたらつかないので、これは何かあったなと。そしたら、急にペースが(1km)3分10秒まで落ちてしまって、ああ、これはやばいなって思いました。でも、よく襷をつないだと思います」(藤田監督)

 この時のケガが癒えるのに、思いのほか時間を要した。というよりも、「中途半端な状態で練習を再開しても仕方ないので、時間をかけさせました」と藤田監督が言うように、逸る気持ちを抑えて完全回復に努めさせた。

 競技会で藤田監督に会うたびに村上の状態を尋ねたが、3月上旬の時点では「ようやくジョグをできるようになってきた」だったのが、3月21日には「ジョグより少し進んだ練習ができるようになってきた」と一歩前進。4月に入ってからもまだまだ「復帰段階」という。

 藤田監督が主将に寄せる期待が大きいのも確かだ。

「自分が走れていないという引け目があって、チームを引っ張りきれていないところもあると思う。村上が走れるようになってくると、またチームの雰囲気は変わるんじゃないかなと思っています」

 主将の村上が戦線に復帰し、キャプテンシーを見せ始めた時、チーム状況も上向いてくることを期待している。

 また、村上だけでなく、4年生全体に対しても奮起を促す。

「(昨季の)4年生が抜けても、まだ自覚が見えない感じがしますね。まだ引っ張ってもらえるんじゃないかっていう感覚が残っているというか、このなかの誰が引っ張るんだ? っていうのが見えてこない。それはミーティングでも言っています。

 彼らも一生懸命やっているとは思いますけど、4年生がもっと引っ張っていく姿勢を見せないといけない。そういう姿勢がどうやって出てくるか......。新入生が入ってきたので、これから少し変わってくるとは思いますけど」

 今春、佐藤圭汰、伊藤蒼唯、山川拓馬、帰山侑大ら主力を担ってきた強力な世代が卒業した。その穴を埋めるのが簡単ではないのは当然のことだが、4年生が本領を見せ始めた時、このチームは見違えるのだろう。

 思い返せば、近年は毎年のように危機感を抱えながら新年度を迎えていた。それがひと夏を越えると、見違えるように戦う集団へと変貌を遂げてきた。今季のチームもまた、そうなる見込みは十分にある。

後編につづく:藤田敦史監督が覚悟を持って臨む新シーズン 「別格」の強さを見せる桑田駿介と頼もしい新入生たち」

著者プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

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