検索

箱根駅伝 駒澤大・佐藤圭汰、復活の区間新の舞台裏「9月の時点では絶望しかなかった」 (3ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

【パリ五輪不出場の悔しさを東京の世界陸上で晴らす】

 駒澤大はそのまま2位の座をキープし、復路優勝を果たしたものの、佐藤は優勝した青学大との差を痛感した。

「順位を2位に押し上げることができたのはいいですけど、優勝を目標にしていたので、勝てなかった悔しさはあります。青学大は個々が強く、往路復路で区間新や区間賞を何人も取っています。自分たちはそのレベルで走っている選手が少ないので、今回箱根を走った1、2年生が現状に満足せず、もっと強い選手になれるように努力して、しっかりと区間賞を取れるぐらいにレベルアップしないといけない。あと、出雲、全日本を走れたのに箱根を走れていない選手もいるので、距離への不安を解消しつつ、基礎的なレベルも上げていかないといけないですね」

 1月4日には駒澤大の新体制がスタートし、山川拓馬(3年)がキャプテンになった。

「次は、自分や帰山(侑大)、山川、伊藤ら新4年生がひとつになってチームをまとめていくことになりますが、自分は篠原さんのように競技以外の面でもみんなの士気を上げるとか、そういうのがあまり得意じゃないので、走りで引っ張っていきたいです」

 佐藤は今年上半期の大きな目標として、東京2025世界陸上への出場を掲げている。駒澤大OBの田澤廉(トヨタ自動車)がそうしたように、これから世陸が終わるまでは個人種目に集中していく予定だ。

「パリ五輪に出られなかった悔しさを東京の世陸で晴らしたいと思っているので、2月からはスピード練習を入れていきます。まずは世陸への出場権を得られるように、参加標準記録(5000ⅿは1301秒)をクリアして日本記録を破り、12分台を出していきたい。そのためには1500m3000mも大事になってきますが、それらの種目でも日本記録を出して、5000mにつないで、世陸でいい走りができればと思います。世陸が終われば気持ちを切り替えて、最後の箱根をしっかり走りたいですね」

 佐藤にとっては苦しいシーズンだったが、意味のある1年間だったのではないだろうか。二度もケガを経験し、新しいフォームを身につけ、箱根の7区で結果を出した。ようやく心技体が整い始め、学生ラストシーズンでは個人種目、駅伝ともに爆発しそうな気配を漂わせる。

 第102回箱根駅伝、はたして佐藤はどこを走り、どんな走りを見せれてくれるのだろうか。

著者プロフィール

  • 佐藤 俊

    佐藤 俊 (さとう・しゅん)

    1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る