駒澤大学・大八木弘明総監督が立ち上げた「Ggoat」プロジェクト 目指すは「選手が楽しく世界を目指せるようなチーム」 (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

【Ggoatの展望と理想とするチーム像】

――これまでは駒大出身の選手ばかりを指導されていましたが、今季からは早大出身の太田選手もGgoatに加わりました。何か化学反応のようなものを感じることはありますか。

大八木 太田は素直なので、いろんなものを吸収したかったんだと思います。ひとりでやっていた時には、ペースを落とすなどして練習の質がそこまで高くなかったそうですが、田澤と一緒に練習をやるようになって質も高くなりました。彼は、うちに来る前は田澤に負けていましたが、今は田澤と同等かそれ以上の走りを見せてくれています。

 彼は人間的にも成長していますね。このチームに来て、チームのファミリー的な雰囲気を崩さないようにと私たちにも気を遣ってくれて、溶け込んでいます。田澤や芽吹は彼の後輩ではありますが、みんな和気あいあいとアドバイスをし合っています。ものすごくいいチームだなと思っています。

――太田選手の加入には、どのような経緯があったのでしょうか。

大八木 田澤も、トヨタ自動車に入社する前はずっとひとりで練習をやっていました。芽吹も、そこまで強くはなかったからですが......。それで、太田と田澤が試合で一緒になった時に、田澤のほうから「一緒に(練習を)やりませんか」と声を掛けたんだと思います。"一緒にやったらレベルが上がる"という思いはふたりとも同じだったんでしょう。

 太田も「ここでやりたい」と私のところに言いに来たので、受け入れることになりました。


――学生だけを指導していた時とは、選手との関係性は変わりましたか。

大八木 大学の指導者としては、トップダウンというか。ここ数年は私自身も接し方がだいぶ変わってきたと思いますが、選手たちは、なかなか指導者に意見を言えないこともあったと思います。

 今のチームは、みんな同じ目線。大人で自立しているので、言いたいことや思ったことは口に出すようにしています。私はチームのリーダーっていうだけで、その一員に過ぎません。みんなで強くなるっていう感覚でチームを作っています。

――どんなチームにしていきたいですか。

大八木 楽しいチームでありたいですね。仕事でも何でもそうですが、やっぱり楽しくなかったら長続きしません。トレーニングもそうなんですよ。きついなと思っても、"今日のトレーニングはよかった"っていう実感が得られるから続けられると思います。

 それに、コミュニケーションも大事にしたい。練習が終わったら、お酒を交わせるような和気あいあいとしたチームでありたい。

 そんななかから世界に何人送り出せるのか。そういうのが今、目指しているチームです。チームの経営は二の次にして、自分たちの選手が楽しく世界を目指せるようなチームになるっていうのが一番ですね。

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