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駒澤大学・大八木弘明総監督が立ち上げた「Ggoat」プロジェクト 目指すは「選手が楽しく世界を目指せるようなチーム」 (3ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

【増える教え子の指導者】

――結果も出ていますし、憧れられるチームになりそうですね。今いる選手のほかにも、Ggoatに入りたいという選手がいれば、受け入れるのでしょうか。

大八木 そうですね。そういう希望のある選手がいれば、順次、面接もしながら受け入れたいという思いはあります。ただ、間口は広げますけど、選手自体がどこを目指しているのかは問いたいです。

桑田(駿介/駒澤大1年)のように5000m13分40秒ぐらいの選手でも、まだまだ伸びしろがあるって思ったら、受け入れたいですね。宝物をうまく見つけられればいいなという思いがありますね。"もっと強くなりたい"という思いのある子が来てくれたら、うちのチームも、また面白くなるのかなという感じがします。

――海外のチームも参考にしているとのことですが、逆に、将来的に海外の選手を指導したいという思いはありますか。

大八木 いや、今の段階では、やっぱり日本の選手を育てたいという思いがあります。

――ちなみに、チームに定員は設けているのでしょうか?

大八木 今のところはあんまり考えてはいないんですけど、あんまり多いと......。私だけではなかなかできないから、今はもうひとり、コーチ兼マネージャーがいます。駒大OBで主務をやっていた坪天潮が来てくれました。JR東日本では、ランニングチームのスタッフとして関わっただけでなく、社業にも就いて、会社組織のことなどいろんなことを勉強してきました。こうやって立派に成長して戻ってきてくれましたから、彼にも少し任せたいと思うところもありますね。

――坪さんもそうですが、教え子の指導者も増えてきました。

大八木 そうですね。今年度からは髙林(祐介)が立教大の監督になりましたし、國學院大の前田(康弘)もそうだし、拓大(井上浩監督、治郎丸健一コーチともに)、東農大(村上和春コーチ)にもいる。

 実業団でも増えてきました。最近では宇賀地(強)がコニカミノルタの監督になりましたし、女子の第一生命の監督には早瀬(浩二)が就任しました。

 それだけ年を取ったっていうことですよね(笑)。でも、自分がやってきたことを教え子たちに見てもらって、それで"自分も指導者になりたい"と思ってもらえたのであれば、こんなにうれしいことはありませんね。

 仏教の世界で教わったことでもありますが、人を残す大切さを自分でも感じていましたし、そうあればうれしいです。

【Profile】大八木弘明(おおやぎ・ひろあき)/1958年7月30日生まれ、福島県出身。会津工業高卒業後、家庭の事情で就職したが、終業時間外で練習し競技を継続し、24歳の時に駒澤大学に入学。1年時は5区区間賞、2年、3年時は2区でそれぞれ区間5位、区間賞を獲得した。大学卒業後はコーチ兼選手としてヤクルトに入社。1995年に低迷する母校・駒大から再建を託されコーチに就任すると、2年目の箱根駅伝(1997年・第73回)で復路優勝、3年目の1997年度に出雲駅伝で学生三大駅伝初優勝したのを皮切りに同大を学生トップチームへと引き上げる。2022年度に監督を勇退するまで出雲4回、全日本大学駅伝は3連覇以上3回含む15回、箱根では2002〜2005年の4連覇を含む8回と三大駅伝通算27回の優勝を果たした。2023年度から総監督となる一方、世界大会を目指す選手を育成するGgoatを立ち上げ、個々の指導に当たっている。

著者プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

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