立教大・髙林祐介新監督が図った軌道修正 箱根駅伝連続出場のチームに改革を示すも「うーん...響かなかったですね」の真意とは? (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文・写真 text & photo by Wada Satoshi

【抜け落ちていた泥臭い練習】

ーー学生の前では、どんな話をされたのですか?

 彼らが立てた1月から3月の練習を見せてもらったんですけど、ある意味、自分たちがやっていて気持ちいい練習、自分たちがやりたい練習をやっているだけに見えました。じっくり取り組む泥臭い練習が抜け落ちているように思いました。

 スピードを強化するにしても、(体力面含めた)ベースをしっかりつくったうえでなければ、なかなかチーム力は上がってこない。箱根駅伝に2年連続で出て、順位もアップしているけど、「これじゃ強くならないよ」と言いました。

 私は少し前まで大学駅伝三冠とか、箱根駅伝優勝を成し遂げたチームにいたので「ついてきてほしい」的なことを言ったんですけど、うーん......響かなかったですね。

ーーでも、反発があったわけでもなかった。

 いろんな意見はありましたが、彼らとしても、指導者不在で困っていたのは事実です。まずはやってみよう、と思ってくれたのは救いでした。

ーー大学駅伝三冠を目指す駒澤大から、半世紀以上ぶりに箱根駅伝に復活したばかりの立教大に来て、髙林監督自身には戸惑いはありませんでしたか?

 私は、レベルが高い低いって、指導するに当たってそんなに差はないと思っています。結局、その子にとって少し高い目標を設定するわけで、背伸びして頑張ることにあんまり差はありませんから。

 ただ、長距離走は生活習慣が大事な種目なんですよね。そういう部分などで意識の違いには感じるものがありました。

 ある意味、駒澤大は完成されているチームです。私が「こうだ」と言ったことに対して、一つひとつ説明しなくてもよかったのが、立教では「これってどういうことですか?」と聞かれます。

 でも、わからない人からしたら、疑問を持つのは当然ですよね。トヨタ自動車で業務についていた時に、若い社員と接する時にも同じように思ったのですが、そんな当たり前のことにあらためて気づきました。いい加減な言葉でうやむやにしてしまったら、余計に困らせてしまうことになる。

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