新種目「男子競歩35km」は日本のお家芸となるか。50km廃止で変わるレース展開 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Takeshi Nishimoto/AFLO

 2019年世界選手権50km優勝の鈴木雄介(富士通)が復調すれば、20kmの世界記録保持者でもあるだけに最有力候補になる。また、2019年世界選手権20km優勝に続き、今年の世界競歩チーム選手権の20kmでも優勝している山西も、将来的な35km移行への期待も高まる。さらに今回優勝の川野も50kmを主戦場にしているが、2019年には20kmで世界歴代10位の1時間17分24秒を出したスピードをもっている。その川野を酒井コーチはこう評価する。

「川野も今回は、ここでの優勝にこだわりがあったのではなく、あくまでも今後の世界大会で勝負するための明確な課題を見つけ、プラニングをするためのレースとして臨みました。最終的には1km4分ペースで2時間20分を出すくらいの実力がないと、世界大会でも暑さとか路面状態などをプラスアルファすればメダル争いは難しいと思っている。彼の場合は20kmでも記録を持っているので、その希有なスピードとスタミナ、それにスピードに合わせられるフォームを大事にしていけば、天職といえるような種目にもなると思います」

 東京五輪の金メダルは逃したが、メダル2つを含め入賞3人という結果だった日本。新種目の35kmをお家芸にしていけるかどうかは、国内のハイレベルな競り合いがあってこそ実現できるはずだ。

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