三浦龍司が3000m障害で見せた信じられない走り。「パリ五輪でのメダル獲得」に近づいた (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AJPS

 だが、500mを過ぎてから先頭に立つと一時、集団に差をつける走りをした。その走りを三浦はこう振り返る。

「少し遅いかなという感覚になってしまったので、集団に揉まれて障害を越えるより、前で走ったほうがいいかなと思って出ました。ただ、最初の1000mは2分50秒1と少し速くなってしまったので、あそこは少しミスかなとも思います。それでも最後はしっかり走りを切り替えることができたし、粘れたのでまずまずだったかなと思います」

 1100mまでは先頭を走ったが、そこから周りがペースを上げてくると、三浦は少しずつ順位を下げた。これまでの長距離レースで、前半から前に出て引っ張った日本人選手の多くは、集団に飲み込まれるとそのままズルズルと後ろに下がっていくパターンが多かった。しかし三浦はそこでも、これまでとは違う走りを見せた。ラスト1000mの競り合いが始まって前4人が抜け出したところに続く集団の後方で粘り続けた。

 ラスト1周の鐘が鳴った時は10位。入賞の夢は潰えたかに見えたが、そこでもう一度粘れるのが三浦の本領であり、強さだ。ラスト1周400mは61秒5で走って順位を上げた。特に、水濠を越えてから最後の100mは、スパートをかけて前を行く2人を抜き去る、という信じられない走りを見せた。

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