大迫傑の日本新記録樹立が示す「日本男子マラソン界の進化」 (5ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 32.7kmから遅れた井上は、徐々にペースダウンし、2時間09分34秒の26位。だが、ゴール後は「腹をくくっていたので悔いはないです。自信はあったし、トップ集団についていくという気持ちと覚悟を持っていけた。今日のレースの一つひとつに関して言えば、レースとしての失敗はないと思うし、シンプルに実力不足だった。悔しさというより、やりたいことはやったなという感じでスッキリしています」と振り返った。

 2時間4分台への挑戦については、「久しぶりに充実感を持って楽しくやれた。これを経験できたのは大きな財産になると思う」と話す。

 そんな井上の挑戦が、今回の東京マラソンを盛り上げる一因になったのは事実だろう。さらに日本人選手で2時間6分台は2人、7分台は7人と好結果が続出した。

 世界のマラソンの進化の速度がさらに上がっているなか、今回の東京マラソンは日本勢がそれに食らいついていこうとする心意気を見せる大会になったと言える。

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