箱根駅伝で東京国際大は台風の目となるか。「創部初」連発で勢いあり (2ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by Nikkan Sports/AFLO

 今回は、ふたりのケニア人留学生がエントリーされた。全日本8区で区間賞を獲得したムセンビは5区を希望しているが、出場できるのはひとりだけ。実力で勝るヴィンセントが出走することになりそうだ。

「作戦としてはヴィンセントを1区に起用して、1、2区で抜け出すか。ヴィンセントを3区に置いて、4区以降にいい流れでつなげるのか。そのどちらかになると思います。ヴィンセントは、ケニアではハーフマラソンを主体に練習していたと聞いていますし、距離の適正はある。いずれにしても、トップを走りたいですよね」(大志田監督)

 身長187㎝のヴィンセントは、11月23日の八王子ロングディスタンス1万mで27分47秒76をマーク。実業団チームなどに所属する外国人選手33人が出場した組で2着に入っており、その実力は本物だ。

 ヴィンセントが1区に入れば、2区伊藤とのコンビで序盤はトップを走る可能性が高い。ヴィンセントが3区の場合は1区の出遅れが心配されるも、2区と3区で急上昇できる。大志田監督も「伊藤とヴィンセント以外は、区間10位前後でいいと思っています。自分たちの力をしっかりと発揮したい」と話す。いずれにしても、チームとしては3区までの貯金を生かして、初のシード権獲得につなげていく作戦だ。

 山は未知数な部分があるが、往路は前回3区の真船、前回4区の相沢悠斗(4年)という経験者が残っている。復路も、前回は7区の芳賀と8区の山瀬大成(4年)が、ともに区間6位と好走。丹所健、山谷という期待のルーキーもいる。11月30日の日体大長距離競技会1万mでは中島哲平(3年)と佐藤雄志(4年)が28分台に突入するなど、選手層も厚い。

 予選会トップ&全日本4位の総合力は、往路の前半でトップを走るだけでなく、そのまま大手町のゴールまで上位で駆け抜けるだけのポテンシャルがあると言っていい。

 2011年春、初年度の部員は校内アナウンスで募集した。施設もほとんど整っていなかったが、現在は駅伝部専用の合宿所、400mのオールウエザートラック、約700mのクロスカントリーコース、低酸素室もある駅伝部専用トレーニングセンターを完備。すばらしい環境の中で、約80名の部員たちが汗を流している。

 創部9年目で急上昇を遂げている東京国際大。令和の時代に、学生駅伝の"主役"を目指す。

  『箱根奪取 東海大・スピード世代 結実のとき』

【発売日】2019年10月4日

【発行】集英社

【定価】1,300円(本体)+税

【内容】2019年1月3日──。 往路2位から復路8区の大逆転劇で みごと箱根駅伝初優勝を飾った東海大学。 その“栄光”にいたる道程にあった苦難や葛藤、 当日のレース模様などを 監督、コーチ、選手たちの証言を交えて 鮮やかに描き出す。

そして、「黄金世代」と呼ばれて輝きを放ってきた 現4年生たちが迎える学生最後のシーズン。彼らはどのような決意で箱根連覇に挑むのか。 出雲・全日本も含む3冠獲得を目指し、東海大学の「黄金世代」が駅伝シーズンに向け、再び走り出す 。

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