立教大が箱根駅伝を目指し改革実行。名選手の指導でチームは変わった (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 今のチームに、陸上の強豪校から推薦で入部してきた選手はいない。楽しく陸上をやろうという感じで入部してきた選手がほとんどで、日本インカレ1500mで10位に入った斎藤俊輔(2年)も「きつい部活ではなく、楽しくやれれば」と思って入部してきたひとりだ。練習も、これまで監督やコーチを置かず、学生たちで考えてやってきた。

 だが、上野監督が来て、チームは一変した。

 箱根駅伝という高い目標が掲げられ、それに向けて練習はハードになった。「練習量が増え、質も高くなって......マジかよって思うこともありました」と斎藤は苦笑する。

 ハードな練習に対しての反発はなかったが、戸惑いはあった。無理もない。多くの選手にとって箱根駅伝は遠い世界の話で、現実的にとらることなどできなかった。それまで箱根を目指す練習などとくにしておらず、自主練習もほどほどにやっていた程度である。夏合宿では、今年は多い選手で800キロを走ったが、昨年は400キロぐらいだったという。

 上野監督が来て、練習がどのように変わり、選手たちはどう変化したのか。

 チームは基本的にA、B、Cに分けれているが、時期によっては細分化される。たとえばインカレがある場合、1万m、5000m、1500m、3000SC(障害)と種目ごとに分かれて練習する。現在は箱根駅伝予選会に向けて、予選会A、B、記録会、対抗戦組、故障者組の5つに分かれている。

 練習は月曜と木曜以外は、午後4時半頃から新座のグラウンドで始まる。池袋キャンパスから通う選手もおり、3限目の授業が終わるのが3時5分なので、そこから新座まで約1時間程度かかるからだ。

 朝の練習については、新しい寮が来年2~3月に竣工予定で、それまでは各自に任せている。上野監督は「毎日約10キロ前後、週に70キロを走るという想定で練習メニューを立てている」と選手に伝えている。

 だが最初の頃は、朝練習をせず、まったく足が絞れていない選手がいた。見かねた上野監督は、こう言った。

「練習はすべて自分のため。すべて自分にはね返ってくるぞ」

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