東海大の飯澤千翔が日本インカレV。
負傷の主将に代わり出雲に名乗り (3ページ目)
1年時での日本インカレ1500mの優勝で期待されるのが、大会4連覇だ。最近では種目こそ異なるが、3000mSC(障害)で塩尻和也(順天堂大→富士通)が達成している。1500mに限れば、過去にふたり達成しているという。令和では、最初にその歴史に名を連ねるチャンスを得た。
「そうですね。そこは視野に入れています。ただ、これから下の世代も出てくるので厳しいですけど、日本インカレも関東インカレも4連覇を狙っていくつもりです。追われる立場ですけど、周囲からマークされると、自分からレースを動かすことができるのですごく走りやすいんですよ。海外にいくと『誰だ、おまえ』みたいになるのですが、日本のレースは走りやすい。日本選手権は別ですけど......」
両角監督も「簡単ではない」と言いながらも、期待を寄せる。
「4連覇は、本人がそういう自覚を持って取り組んでいかないと簡単なことではない。下からもいろんな選手が出てくるし、この舞台に4年間立つことも大変だと思いますが、可能性はあるかなと思います」
1500mは東海大の強みであり、シンボルでもある。それゆえに他大学に負けるわけにはいかない。
日本インカレでトラックでの大きなレースが終わり、これから本格的な駅伝シーズンに入る。
1500mを走り、20キロも走る館澤は、まさにお手本のような存在だが、1年生の飯澤がその域に達するのは容易なことではない。だが、短い距離であればスピードを生かしてチームに貢献することができる。そんな飯澤のよさを生かせるのは、出雲駅伝だろう。
スピードを生かし、例年2区を走っていた館澤は、今回の出雲駅伝は間に合いそうにない。飯澤は「1区希望」と言うが、館澤の代わりを務められるのは彼しかいない。そのことを飯澤自身も自覚している。
「自分は単独走よりも集団で走った方が、よさを出せると思うんです。そういう意味で1区が希望ですが、館澤さんをカバーするのはスピード面では僕しかいないと思うので......もし2区になったら、しっかりと役割を果たしたいと思います」
両角監督も、駅伝仕様の飯澤に期待を寄せる。
「飯澤のようなポテンシャルを持つ選手は、駅伝も面白いと思います」
今後は距離を踏み、新たな自分を見せる時がやってくる。
『箱根奪取 東海大・スピード世代 結実のとき』
【発売日】2019年10月4日
【発行】集英社
【定価】1,300円(本体)+税
【内容】2019年1月3日──。 往路2位から復路8区の大逆転劇で みごと箱根駅伝初優勝を飾った東海大学。 その“栄光”にいたる道程にあった苦難や葛藤、 当日のレース模様などを 監督、コーチ、選手たちの証言を交えて 鮮やかに描き出す。
そして、「黄金世代」と呼ばれて輝きを放ってきた 現4年生たちが迎える学生最後のシーズン。彼らはどのような決意で箱根連覇に挑むのか。 出雲・全日本も含む3冠獲得を目指し、東海大学の「黄金世代」が駅伝シーズンに向け、再び走り出す 。
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