神野大地、MGCで惨敗も納得。ファイナル挑戦は「狙いたいけど...」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kishimoto Tsutomu

 15キロで大迫傑(ナイキ・オレゴンプロジェクト)らに吸収され、再び第2グループで走ることになったのだが、17.55キロを越えると、神野のスピードが落ち始めてきた。大迫をはじめ、服部勇馬(トヨタ)、中村匠吾、鈴木健吾(ともに富士通)の4人の選手が前をいく。神野は「勝負どころは35キロを越えた坂」と考え、そこまで喰らいついていける足をつくってきた。しかし、ここにきて早くも歯を食いしばって走る表情が、テレビ画面に映し出されていた。

15キロぐらいからすごくペースが上がっていったんです。あそこ(大迫らに抜かれたところ)で1、2キロ我慢できていれば、その後ペースは上がっていかなかったので、自分のなかのレース展開も変わっていたかもしれない。でも、ついていけなかった。自分の力不足を突きつけられた感じがありました」

 そして19キロを越えると、神野は第2集団から離れていった。それでも沿道からの大声援を受けて、懸命に走った。

「沿道の声援とか盛り上がりは、箱根よりも上だったんじゃないかな。それぐらい、この大会の大きさを感じました」

 神野は青学大時代から声援を受けてパワーをもらい、それを走る力に変えてた。だが今回は、これまでにない声援をもらうも、体力は消耗していった。

 折り返し地点では、トップを走る設楽、そして大迫らの第2集団から離れ、第3集団のなかにいた。トップを走る設楽の足は止まりかけていたが、神野も「前と離れてしまった」という状態で、五輪の椅子は遠のいていくばかりだった。力強く走る前の選手を追えず、神野はマラソンの難しさを痛感していた。

 レースは中村がトップでゴールに駆け込み、2位には服部が入り、ともに東京五輪の切符を勝ち取った。大本命だった日本記録保持者の大迫は3位に終わり、残り1枠はMGCファイナルチャレンジ()の結果を経て、決定されることになった。

※福岡国際マラソン、東京マラソン、びわこマラソンの3レースのなかで、派遣設定記録(2時間05分49秒)を上回り、最も速いタイムを出した選手が代表に内定。突破する選手がいない場合は、MGCで2枠に入らなかった次点のランナーが選ばれる

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