末續慎吾が世界陸上で銅メダル。陸上短距離界の「もう一歩」の壁を破る (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by REUTERS/AFLO

無料会員限定記事

 指導する高野進コーチは、末續にこんなエールを送っている。

「私はファイナルを目指していた段階だったが、彼はその次の段階を意識して走っている。決勝は未知の世界なので大健闘になるか惨敗するかわからないですが、短距離は体の触れ合わない格闘技でもあるので、決勝という圧力の中でしっかり四つ相撲を取ったなという手ごたえを感じてくれればうれしい」

 ここまでの走りを考えれば、決勝で末續は5番手ぐらいになるだろうと予想されていた。しかし、29日の決勝舞台ではそれを覆す走りを見せてくれた。

 スタートからコーナー2番手で抜け出した末續は、直線に入ると後続選手に飲み込まれ、ゴール前では団子状態に。5番手くらいに位置していたが、そこからのラスト5mで抜け出すと、見事3位でゴール。20秒30で優勝したカペルとの差は0秒08。4位のダーレン・キャンベル(イギリス)とは0秒01差で、1位から5位までが0秒11内に入る大混戦だった。

 レース後、ミックスゾーンに現れた末續は、「100mを過ぎてから足が攣りそうになったので、わけがわからなかった。アイシングをしてきます」と言って一旦その場を去り、戻ってくると地面に座り込みながらも興奮気味にこう話した。

「結果が出るまでは、正直生きた心地がしなくて。ゴールの瞬間は自分がどうだったかわからなかったけれど、観客に『お前が3番だ』と言っている人がいて、電光掲示板を見ていて、3位と出た時はウソじゃないかと思って何度も確認してしまいました」

 その走りで足を痛めてしまい、翌日からの4×100mリレーには出場できなかったが、大会最終日の31日に末續に会うと「あんなに練習をしたのに、またリミッターを切って筋肉を傷めてしまいました」と言いながらも笑顔だった。

全文記事を読むには

こちらの記事は、無料会員限定記事です。記事全文を読むには、無料会員登録よりメンズマガジン会員にご登録ください。登録は無料です。

無料会員についての詳細はこちら

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る