すべてはMGCで勝つため。神野大地が
2時間5分台で走れる体に改造中

  • 佐藤俊●文・写真 text&photo by Sato Shun

 その後も淡々とトレーニングが続くが、新しいメニューも入っていた。

「これらのトレーニングは、2時間5分台を出すためのものです」

 中野はそう言った。

「神野のように身長が低く、手足が短い体型の選手が2時間5分台を出す方法はふたつしかない。歩幅を狭くしてちょこちょこ走るか、ストライドを広くして走るか。神野は後者で、これまではストライドを広げ、足のたたみこみを早くして回転数を上げ、パワーで持っていく走りを目指してきました。そのためには筋力とエネルギー貯蔵量が必要になってくるので、それを増やすトレーニングをしてきたんです。その結果、8分台を出せる体づくりはできました」

 中野曰く、昨年9月のベルリンマラソンの時、すでに8分台を走れる体はできていたという。実際、レース前はそれまでのどんな大会前よりもすばらしい仕上がりだった。しかし、腹痛によってレース途中棄権という憂き目にあった。

 その後も通常のトレーニングを進行しつつ、MGCを取った先を見据えて5分台で走るためのメニューもこなしてきた。MGCの出場権を獲得したあと、今は5分台を目指すトレーニングに切り替わっている。

「5分台を出すには、パワーとエネルギー貯蔵量がさらに必要になってきます。そのためにはエネルギー効率をよくしなければならない。簡単にうと、今のパワーのある動作をもっと力を抜いた状態でできるようにするということです。そのために『ねじれ』が重要なんですよ。上半身のねじれだけではなく、骨盤からねじれるようにしていくとストライドが広く、推進力も出てくる。これはMGCを取った後の課題だったので、そこを今やっている感じですね」

 中野が9月のMGC本番に向けて5台を走るためのトレーニングを、自信を持って続けているのは、レイヤーの効果が明確に見えたからでもある。

 東京マラソンで神野は15キロ越えた付近でスピードが落ちた。何が起こったのかわからないが、早い段階での失速に中野はこの時、最悪の事態も考えたという。しかし、そこから神野は粘りの走りを見せた。とりわけ30キロ以降では出力を上げて走り、日本人選手を次々と抜き去った。そうして総合8位(日本人4位)に入ってMGCを獲得したのである。

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