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またも神野大地を襲った腹痛の悲劇。
来年3月の東京マラソンは正念場だ (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT

またしても腹痛により失速してしまった神野大地またしても腹痛により失速してしまった神野大地 ここでMGCへの出場権らないと今後の練習プランに影響を及ぼすと語っていただけに、れなかった現実はいくらポジティブな神野とはいえ、メンタル的な影響が少なくないはずだ。なにより心配なのはこの腹痛がトラウマになってしまうことだ。

 神野は普段の練習も含め、レイヤートレーニングをこなし、優勝した服部に負けないくらいの練習量をこなしていた。筋肉を含めて走れる体作りをずっと継続しており、今回も決戦前夜はコンディション的にはかなりいい状態だった。

 しかし、いくら練習を完璧にこなし、走れる肉体を準備してきても内部に異変が起きて腹痛が発症してしまう。走れる力がついているのに、その力を100%発揮できない。腹痛も含めての総合力で戦うのがマラソンだと言われると確かにそうなのだが、練習を積み重ねてきたすべてをぶつけて勝負できない現状に忸怩(じくじ)たる思いでいるのは容易に察しがつく。

 腹痛の原因が明確ではない現状では、神野はマラソンを走る度に25キロ前後から腹痛を発症する恐怖とも戦わないといけない。これはランナーにとって心理的な負担になる。それがレースに及ぼす影響は決して小さくはない。

 マラソンを4回走り、4回とも腹痛が起きた。

 もはや腹痛を起こらないようにするのではなく、起こりそうになった時にそのダメージを最小限に止める。起こるものとして考え、起こる寸前で対処する術を得て、レースを戦う。従来の腹痛の原因解明を進行させつつ、そうした考え方の転換も求められる時期に来ているのではないだろうか。神野の陸上人生は、まだ先もあるのだ。

 大迫傑(すぐる)、設楽、井上大仁(ひろと)、服部が先行し、東京五輪のマラソン出場権をかけた争いはさらに激しさを増してきた。2度目となる福岡国際マラソンで神野自身が得たものは少なからずあるだろうが、MGCはつかめなかった。

 次の東京マラソンは極めて重要なレースになる。

(つづく)

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