1年生の奮闘で学生長距離2冠目達成。出雲駅伝に向けて戦力拡充は? (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

 須崎の表情には安堵感が漂っていた。無理もない。ここで入賞できなければ長距離部門の優勝を逃し、今年の目標である「学生長距離5冠」が早くも2大会目で潰えることになったのだ。

 1年生の須崎には相当のプレッシャーだっただろうが、4位となり5点を獲得した。これで東海大は長距離部門で18点となり1位。関東インカレに続き、これで2冠を達成した。

 大会終了後、東海大陸上部の全選手が集まり、報告会を終えた。その後、中・長距離部門の選手だけで集合。両角監督は所用のため、すでに競技場をあとにしており、西出仁明(のりあき)コーチが総括を行なった。

 長距離部門で優勝を果たしたが、直立する選手たちに笑みはない。むしろ、表情は硬い。おそらく、これから3大駅伝を迎えるにあたり、チーム状態に不安を感じているからだろう。

 昨年は夏合宿で練習メニューをほぼ完璧にこなしていくなか、早くから全日本インカレ組が出雲を走ることが決まり、出場予定の選手たちは故障することなく、順調に調整していった。それが出雲駅伝優勝、全日本大学駅伝2位へとつながったのだ。

 しかし今年は「箱根駅伝優勝」を目指し、夏合宿で練習内容を変更した。両角監督は言う。

「今年は箱根駅伝優勝という目標を掲げ、それを達成するために練習の内容を変えました。でも、それに学生たちがついてこれず、仕上げることができなかった。それは学生の責任ではなく、私たち指導者の責任だと思っています」

 夏合宿で選手を仕上げることができず、それが今回、鬼塚翔太(3年)ら主力選手の欠場につながったというのだ。

 それはチームにとって痛手であるのは間違いない。だが、主力が走らなかったことで、逆に「もっと出てきてほしい」と両角監督が言っていた中間層の選手たちが実力を発揮し、頭角を現してきた。

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