2018.06.08

「長距離5冠」の第1弾を制しても、
東海大が浮かぬ表情なのはなぜか?

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Osada Yohei/AFLO SPORT

東海大・駅伝戦記  第28回
関東インカレ(後編)

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5000mでポイントを獲得した鬼塚翔也(写真は昨年の日本選手権)――関東インカレ。

 東海大は1万m、1500m、3000mSC(障害)、ハーフマラソンを終え、長距離部門5種目で36ポイントを挙げ、トップに立っていた。最後の5000mで確実にポイントを取れば、今シーズンの目標である「学生長距離5冠」のひとつである関東インカレを制し、まずは1冠となる。

 待機場所では、5000mに出場する選手たちがリラックスしていた。

 西出仁明(のりあき)コーチが健闘したハーフ組の結果を踏まえて、彼らにハッパをかける。

「ハーフでリーチ(1位)まできたからね。西田がハーフでがんばったんだから、最後はお前らがポイント取らないとシャレにならんだろー(笑)」

 周囲の選手たちから笑いが起こる。

 しかし、鬼塚翔太(3年)は真剣な表情でいた。先陣を任され、初日の1万mに出走したが9位に終わった。7位内に入れずにポイントを落とし、主力選手として悔しい思いをしていたのだ。

 男子1部5000mには、チームのエースである鬼塚、關颯人(せき・はやと/3年)、阪口竜平(3年)の3人がエントリーしていた。5000mは、非常にレベルが高く、他大学ではパトリック・ワンブィ(日大)、塩尻和也(順天堂大)、西山和弥、相澤晃(ともに東洋大)たちが優勝を狙っていた。

 スタート後、鬼塚は先頭集団についていく。

「最初は先頭についていって、どこまで粘れるかっていうところだったんですが、2000mぐらいで疲労がきてしまって……」

 塩尻、ワンブィ、阿部弘輝(明治大)の3人がトップ集団となり、鬼塚は次の集団で我慢の走りを見せていた。その後、鬼塚は一時、9位まで落ち込んだ。ラスト1周の鐘が鳴る。鬼塚は落ちてきた選手を抜き去り、さらにスピードを上げる。ホームストレートで持ち味のスピードを見せて、5人を抜き去った。そして、最終的に4位でフィニッシュしたのである。