川内優輝、公務員やめるってよ。32歳のプロ転向で何が得られるか (3ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by Getty Images

 次はタイム短縮について。川内の自己ベストは、2013年3月のソウル国際でマークした2時間8分14秒。2時間9分切りは3回達成しているものの、この5年間は2時間9分台にとどまっている。川内自身も、「純粋なタイム勝負では、設楽(悠太・Honda)君、井上(大仁・MHPS)君よりも、私のほうが劣っていると思っています」と、スピード不足を実感している。

 来年4月に32歳になることを考えると、今からスピードを強化することは簡単ではない。しかし、これまで取り組んでこなかったトレーニングをこなすことで、新たな能力を手にすることができるかもしれない。日本記録(2時間6分11秒)の更新についても、「可能性があれば、もちろん挑戦していきたい」と川内。世界の強豪と勝負するには、設楽や井上に勝てないようではいけないと思っているのだろう。

 最後に、2020年東京五輪についてはどうなのか。川内は暑さが苦手ということもあり、すでに「日本代表」からの引退を表明している。「日本代表にはこだわらず、世界各地のレースで戦いたい」という考えは変わっていない。ただし、公務員を退職して、時間的な制限がなくなることで風向きが変わる可能性もあると見ているようだ。

「現時点では、暑さ対策や長期合宿ができないので、東京五輪を狙うという意欲は沸いてきません。夏場は暑さの中での練習で調子を落としてしまうことが多かったんですけど、高冷地で合宿ができるようになれば、自分も変われるのではという期待もあります。その時は自信を持って挑戦したいと思っています」

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