【月報・青学陸上部】箱根V4の裏側。走る選手を見抜く恐るべき眼力
極私的! 月報・青学陸上部 第41回
4連覇を達成し、ファンの声援に応える原晋監督前回の記事はこちら>>
青学大の4連覇で幕を閉じた箱根駅伝。
その勝因については、いろいろなところで語られているが、正直なところ昨年12月10日のエントリー発表時点では箱根駅伝で勝つのは難しいと思っていた。
出雲駅伝はスピード勝負になることを想定しており、負けは致し方ないと思っていたようだが、全日本大学駅伝で敗れた時、原晋監督は箱根も失いかねない不安にかられ、不機嫌になった。実際、全日本のレース後はいつもと違う雰囲気、光景が広がっていた。
敗者になった時の振る舞いにこそ、その王者が本物の勝者のメンタリティーを持っているかどうかが見えてくる。だが、敗戦後、原監督が採ったのは選手への取材自粛だった。これだけ取材慣れしている選手たちである。話すことで、その敗戦の原因を自分で整理することは必要なプロセスであり、次につながるものでもある。しかも他大学は一切、そういう"お触れ"は出なかった。ふだんは広報活動をしているにも関わらず、敗れた途端に門を閉ざしたのだ。そこに王者としての矜持(きょうじ)は感じられず、まだ本物ではない弱い姿が見えてしまって残念だった。
指揮官の不安は全日本以降、なかなか解消されなかった。
箱根に向けて最終テストとした昨年11月末の学連1万m記録会に選手が出場したのだが、28分台で走れたのは森田歩希(ほまれ/3年)と鈴木塁人(たかと/2年)だけ。のちに鈴木は箱根1区で流れを作り、森田は2区で鈴木健吾(神奈川大・4年)を抜いて、区間2位の快走を見せた。
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