大迫傑が語る異次元のマラソン。
「走りの感覚はレースごとに忘れる」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

 そんな大迫は自身のマラソンへのスタンスをこう話す。

「特に自分のキャパシティを超えないというか、常に謙虚にというか、冷静に自分の力量を見つめることが大事だと思います。周りが求めるままに高い希望を持つのも、何かちょっと違うのかなと。いずれはマラソンを走りたいとは思っていましたが、それが東京オリンピックだという風には考えてはいませんでした。自分ではトラックに関して今でもやれると思うし、メダルは正直どうかわからないけど入賞ラインまではいけると思っています」

 マラソンに取り組み始めたきっかけは、昨年出場したリオデジャネイロ五輪の結果だったという。

「1万mが17位で、5000mは予選落ちという結果に終わった段階で、『東京五輪はもしかしたらマラソンの方が向いているんじゃないかな』と思い始めて。それでどちらが向いているかを一度比較するために、翌年にマラソンを走った方がいいのではないかと、コーチと話をしました」

 そこで選んだのが今年4月のボストンマラソンだった。本格的なマラソン練習は2月5日の丸亀ハーフを1時間01分13秒で走ったあとからだったというが、実際には昨年末くらいから走る距離を伸ばしていたことで、意識せずに4~5カ月はマラソントレーニングができていたのではないかと分析する。

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