駅伝2冠を逃した東海大の「最強世代」。どこに誤算があったのか? (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

 1区は鬼塚翔太(2年)が担った。

 当初は出雲駅伝優勝の功労者である阪口竜平(2年)を1区に置き、鬼塚を他区間で起用するという「出雲システム」の再現でいくのかと思われた。しかし、大会前日のエントリーシートに阪口の名前がなかった。

「外したのは2週間前のポイント練習の出来ですね。これは非常に重要でした。もちろん、それが彼の評価のすべてではないのですが、出雲で結果を出した選手もちょっと気を緩めると替えられるんだぞという緊張感がチームの中に出てきてほしいなと思っています。1区の鬼塚は昨年も同じ区間を走っていますし、彼の勝負強さに期待しています」

 両角監督は、阪口を外した理由と鬼塚起用の理由をそう語った。

 スタートと同時に全日本大学選抜のムソニ・ムイル(創価大)が先頭に立ち、ハイペースで引っ張る。ペースを速め、休み、揺さぶりをかけてくるが鬼塚は対応し、トップグループから離れない。

 3km地点で鬼塚が先頭に立った。

「昨年は消極的にいって区間10位という結果に終わったので、今年は積極的に攻めていこうと思っていましたし、自分でレースを作っていこうと思っていました」

 しかし、ムイルがスピードを上げ、再度先頭に立つ。

 9km地点で両角監督の声が飛んだ。

「鬼塚、前と4秒差だ」

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