2017.11.05

ドラマ『陸王』さながら、かつて
日本の足袋が世界のマラソンを制した

  • 石井孝●文・撮影 text & photo by Takashi Ishii

短期連載〜消えたハリマヤシューズを探して(3)

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 日本伝統の足袋業者が、新規事業のランニングシューズ開発にチャレンジするテレビドラマ『陸王』(原作・池井戸潤)が人気を呼んでいる。だが実は、今から約100年前、このドラマと同じような心意気で世界の列強に挑んだ日本の長距離ランナーと、彼を支えるひとりの足袋職人が実在したことは意外と知られていない。

 東京高等師範学校の学生だった金栗四三(かなくり しそう)は、近所の足袋店「ハリマヤ」の主人・黒坂辛作(くろさか しんさく)に作ってもらった特製マラソン足袋をひっさげて、1912年(明治45年/大正元年)ストックホルムオリンピックのマラソン競技に出場。しかし、調整不足と日射病の影響で金栗は意識朦朧となり、レース中コース脇に迷い込み失踪する大失態を演じてしまう。

 捲土重来を誓った金栗は帰国後、辛作と二人三脚でマラソン足袋の改良に着手する。ゴム底の採用などで耐久性を高めた足袋は1919年(大正8年)、ついに金栗の足に履かれて下関〜東京間1200kmを走破し、その存在を天下に知らしめた。そして「金栗足袋」と名づけられた製品は、金栗以外の長距離ランナーにも履かれ、各地の競技会で目覚ましい結果を残していく……。


1936年のベルリン五輪で孫基禎が金メダルを獲得したときの金栗足袋