強力2トップの東海大。全日本大学駅伝に向け「長距離化」は進んだか (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun photo by Kyodo News


「僕のように跳ねて走る選手には合っていると思います。前に押し出して身体を運んでくれる感じなので、疲れていても踏むだけで前に進む感じになります。今までのシューズの概念と違うし、すごいなって思います」

 隣で着替えていたい塩澤も同シューズを履いている。

「平成国際の(記録会の)時は雨だったのでスパイクを履いていたんですが、今日のポイント(練習で)は(ズーム ヴェイパーフライ4%を)履きました。前への推進力をすごく感じて、勝手に前に進むというか、すごいですよ。合う人には、最高の武器になると思います」

 好調を維持しているせいか、言葉に張りがある。出雲では出番がなかったが、今では西出コーチが「好調で順調」というほどで、1年生ながら実力が抜けてきている。

「好調の要因ですか? やはり夏合宿の効果が出てきたのかなと思います。全体的にも出雲から調子が上がってきていますし、その流れにみんなが乗っていい効果が生まれていると思います。今日も平成国際の後、初めてのポイントだったので、やばいかなって思っていたんですが意外と走れて、調子いいなって思いますね(笑)」

 笑顔の表情は、あの時とはまるで異なっている。出雲駅伝後の記録会、塩澤は少しピリピリしていた。出雲を走れなかった現実を受け止め、自分の気持ちと折り合いをつけようとしていたのだろう。だが、レースに出走することに懸けてきた分、簡単には受け入れられないし、目の前の記録会は待ってくれない。走る以上は青学大の選手と戦い、彼らには負けたくない。いろんな感情が渦巻いて、それが表情にうっすらと出ていた。

 結果、レースではトップを勝ち取った。さらに平成国際大記録会の1万mでもしっかりと結果を出した。区間は未定だが、塩澤は全日本に出走するチャンスを自らの手で掴み取ったのである。

「次(全日本)は自分が絶対に走る。出雲が終わってからそれだけを考えてやってきました。走る区間のイメージは比較的アップダウンの少ない3区か5区がいいかなと思いますが、どこの区間を任されてもしっかり走りたい。走ったら区間賞を狙っていきたいですね。出雲では走った選手と補欠の選手では扱いがだいぶ違うな、と思ったので、今度は自分が走って、勝って、ゴールの時の優勝の輪の中に入って、喜びたいと思っています」

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