「福岡国際を日本記録で走れば...」。夏場に追い込んだ神野大地の自信 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

「僕はピーキングとか試合前も特に意識していないです。試合前になると練習量を落としていくじゃないですか。僕は毎日、疲労を残さないようにめちゃくちゃ体をケアしているので練習量が落ちてくると、(疲労が抜けて)自然と調子が上がっていくというイメージなんです。練習をして試合前に調整しても結果が出ないのは、練習を頑張った時にケアをしていなくて、その疲労が蓄積された状態でレースに出ているからなんですよ」

 ピーキングに気を使うのでなく、いかに普段から疲労を蓄積しないか。長距離の練習はハードで知らない間に疲労がたまっていくことが多い。そこを日々取り除いていくという神野の考えはピーキングをあれこれ考えるよりも大事なことのように思える。

 今年は短距離界が大いに盛り上った。

 5月のゴールデングランプリ100mで多田修平が頭角を現し、ロンドン世界陸上では4x100mリレーで銅メダルを獲得した。また、9月の日本インカレでは桐生祥秀が9秒98の日本新記録と初の9秒台を出して日本中を沸かせた。短距離が「花形」といわれる陸上界にあって、長距離界に身を置く神野は現状をどう考えているのだろうか。

「短距離の人気はすごいですよね。特に100mは盛り上がっていて、どこのスタジアムも満員になるじゃないですか。まだ、9秒台を出せる選手がたくさんいますし、みんなが9秒台になれば東京五輪で金メダルも夢じゃないと思います。マラソンは、注目度が最近は下がりつつありますが、福岡(国際マラソン)で(日本選手の)国内記録(2時間6分51秒)を超えたら盛り上がると思うんですよ。その記録は藤田(敦史)さんが福岡で出しているんです。だから、新記録を達成するのは不可能じゃない。僕は、その記録を超えて国内記録1番を狙っていきたい。勝った時は『いま短距離界が注目されていますが、長距離界もやってやろうと思っていました』って、ヒーローインタビューで話すイメージでいます」

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