予選会に破れても笑顔。慶応大が箱根駅伝の出場まで「7分近づいた」

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • 写真●松尾/アフロスポーツ photo by Matsuo/Aflo Sport

 箱根駅伝の予選会には"天国"と"地獄"を隔てる明確なラインが存在する。通常開催となる第94回大会は上位10校が予選通過となるため、10月14日に行なわれた予選会では10位の東京国際大がマークした、合計タイム10時間10分34秒がボーダーライン。そこに少しでも遅れた大学には、正月の晴れ舞台は巡ってこない。

今年の箱根予選会は、慶應大を含めた49校が本戦出場権を争った今年の箱根予選会は、慶應大を含めた49校が本戦出場権を争った 毎年、本戦出場を決めた大学と落選した大学では、結果発表後の空気がまったく違う。笑顔と涙。結果をまったく知らない人でも、その大学が通過できたかどうか瞬時に判断できる。

 しかし、それは箱根を本気で目指してきた大学だけに共通するものでもある。今回の予選会には49校が出場したが、落選したすべての大学が悔し涙を流したわけではない。本戦に届かなくても、笑顔を見せた大学はいくつもある。

 数校の取材を終えて慶應大のもとへ行くと、選手たちは笑顔で胴上げをしていた。おそらく、最後の予選会となった4年生が宙に舞っていたのだろう。慶應大は今季から「慶應箱根駅伝プロジェクト」を始動。日体大で2004年から4年続けて箱根駅伝を走り、日清食品グループで全日本実業団駅伝の優勝を経験している保科光作がコーチに就任して、長距離の本格強化をスタートさせている。

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