出雲で「勝ち方を知った」東海大は、全日本と箱根もトップを奪えるか (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun photo by Kyodo News

 阪口が青学大に38秒の差をつけていなければ、3区の松尾が早い段階で追いつかれて吸収されていただろう。松尾は4区の鬼塚に5秒遅れで襷を渡したが、もっと差を広げられた可能性が高く、そうなると勝負はどう転んでいたかわからない。そういう意味でも阪口の快走は、東海大が勝つ確率を相当高めたと言える。

 出雲制覇は、単なる勝利にとどまらない。關はこの優勝で東海大は大きく変わると言った。

「昨年は勝てる、勝てると言われても結局、勝てないまま終わってしまった。でも、今回は勝たないといけないレースを勝ち切ることができた。僕は、この"1回勝ちを知ること"が大事だと思うんです。勝ち方がわかったことは、この後うちのチームの強みになっていくと思います」

 一度、優勝の味を知ると、また味わいたいと思い、努力をつなげていく。そうして個々の意識が高まり、常勝チームになっていく。すでに彼らの中には、その気持ちが萌芽しているようだ。

「次も勝ちたい。全日本も獲って、箱根につなげていきたいです」

 誰もが聞かずとも次のタイトル獲得を口にした。両角監督もすでに次を見据えている。

「全日本はこの勢いで行けると思います。今日外れたメンバーも今日走ったメンバーと遜色ない選手ですので、2区間が増えて距離が長くなっても面白いと思います」

 監督と選手の目指す方向が一致している。出雲の勝利は、東海大にチームとしての自信と一体感を生んだ。その大きなうねりは今シーズンの駅伝シーンを飲み込みそうな勢いである。

(つづく)

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