五輪でメダルを目指す神野大地の夏。
新フォームで70km走に挑む

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

神野プロジェクト Road to 2020(4)

上半身裸で、網走郊外を走る神野大地上半身裸で、網走郊外を走る神野大地 8月、コニカミノルタの網走合宿。

 神野大地はロンドンでの世界陸上選手権を視察後、チームに合流。42.195kmを一度走るなど、順調に練習メニューを消化していた。この日は、中野ジェームズ修一が東京から来て、レイヤートレーニングを行なうことになっていた。

 7月のホクレン網走大会の1万mでは自ら設定した28分50秒以内のタイムに近い28分56秒34で走ることができた。4月以降、マラソンを走るためのトレーニングを続けてきているプロセスの中で、そのタイムを出せたことは神野にとって、これからさらにトレーニングを進めていくうえで非常に意味のあるものだった。

 中野はそのレースの動画を見たという。

「神野には『なんで日本人トップ取れなかったの』って言ったんです。この走りなら取れたんですよ。ただ、もうこのホクレンの走りは古い。今はこんな走りをしていないです」

 わずか1ヵ月前の走りが、もう古いという。神野にいったい何が起きているのだろうか。

 中野が言う。

「7月の終わりにフォームを変えたんです。走っている時、普通に着地すれば前に推進力が出てくるんですけど、神野のフォームはガニ股なので着地した時、外側に力が逃げてしまうんです。そこを変えたかったんですが、内転筋が十分についていないと内側に着いた時、恥骨などを痛めてしまう可能性がある。あと股関節の梨状筋(りじょうきん)が硬いと内側にもってこられないんです。でも、神野は内転筋がついてきたし、毎日ストレッチをしているので柔軟性がある。条件が揃ったので新しいフォームに変更したんです」

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