箱根から世界へ。予選会で光った神奈川大エース・鈴木健吾の走り (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • フォート・キシモト●写真 photo by PHOTO KISHIMOTO

 その中でも、鈴木と同レベルの練習をこなしているという2年生の山藤篤司は、6月の全日本大学駅伝関東予選会では鈴木とともにハイペースの先頭集団に8000m過ぎまでつきながらもラスト1周で過呼吸になって本戦出場を逃していた。しかし今回はそのアクシデントを覆す走りを見せ、後半追い上げて59分58秒で10位になっている。

「去年は15kmから失速したので、今年はラスト5kmを意識しました。ついた集団のペースが思ったより遅くて、15km通過も44分59秒と遅く、落ち着いて走れた。うちは展開をひっくり返せる選手がいないので、箱根では往路の1区と2区でしっかり流れを作らないといけない。これからは1万m28分40秒切りを目標にして1区でも勝負できるようにしたい。(鈴木)健吾さんに2区でしっかり戦ってもらうためにも、1区でいい位置でタスキを渡さないと話にならないと思う」

 山藤がこう言うように、箱根でシード権獲得を目指すチームにとって、序盤でいい位置につけて流れを作ることは必須の課題だ。それを考えれば鈴木がトップと戦えるエースに成長した神奈川大は、その可能性を秘めているチームとも言える。

 箱根の2区快走からユニバーシアードへ、そしてマラソン......。鈴木の目標はこの予選会の快走で、さらに明確になった。

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