箱根から世界へ。予選会で光った神奈川大エース・鈴木健吾の走り (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • フォート・キシモト●写真 photo by PHOTO KISHIMOTO

 身長は163cmと小柄だが、「故障をしないのが自分の持ち味」という鈴木を、大後監督は「自分の体の状態を見極め、練習の強弱の取り方がさらにうまくなってきた」と評価する。性格的にもコツコツ積み上げるタイプで、まさにマラソン向きの選手。3年生ながら駅伝主将になった今年は再来年のマラソン挑戦も意識し、「そのためにもハーフマラソンでユニバーシアードに出て、世界の強さの洗礼を浴びたい」と、夏場には最長35km走も含む月間1200kmを走り込んだ。この練習が着実に力となってきていることを、この予選会で証明してみせたのだ。

「けっこう暑くて他の大学の選手も苦戦しているなかで、このタイムを出せたのは自分にとって自信にはなりました。でもあくまでも予選会なので......。本戦のエース区間を走ってくる一色恭志さんや服部弾馬さんなどは、今日58分15秒で走って1位になったワンブイと同じくらいのタイムで走る選手だと思うので、そこでしっかり戦って記録を出せるようにならなければダメだと思います。ケガをしないというのと安定して走るという力は最近になってすごくついてきたなという感覚はあるので、これからも気を緩めないでやっていきたい」

 神奈川大は総合では10時間11分47秒で5位通過という結果だった。大後監督は「全員が1時間1分台では入ってほしかったが、2分かかっている選手もいる。想定は10時間7分半だったが、10kmから上げることができずに4分悪かった。まだチーム全体の1万mの記録も遅いし、4年生もケガの影響で7月くらいから練習をできるようになった状況なので、これが今のうちの実力です」と言う。

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