200m日本新の福島千里に聞く「3度目の五輪、リオで何を狙うのか」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

「毎年同じことを言っているかもしれないけど(笑)、織田がすべてじゃないので......。もちろん不安や焦りはあったけど、周りにいるすべての人が慰めるような言葉も言わないでずっと信じてくれて、それまでと同じように接してくれたし、誰ひとりとして焦ったり不安に思ったりする人がいなかったので。そのおかげで私も不安な気持ちに引っ張られずに済みました」

 出力が上がっていたために、硬いトラックで筋肉が驚き、痙攣が起きたのだろう。スプリンターは調子がいい時ほど筋肉が敏感になる。調子がよすぎたための痙攣だったとも言えるのだ。福島は「自分のスピードに怖がっていたのかもしれませんね」と微笑む。

 その後は5月18日の北京チャレンジミーティングの4×100mリレーで4走を務めて、いい走りをした。さらに6月5日にはポーランドで100m予選を11秒38で走り(決勝は脚に違和感があり、スピードを落として11秒54に止まり)14日にはスイスのルツェルンで気温が14度と寒い中、200mで自己5番目の記録となる23秒13で走った。

 24日の日本選手権初日、雨で向かい風2.1mという悪条件の中で行なわれた100m予選は、スタートのやり直しが3回あり、4回目にやっとスタート。タイムは11秒85だった。翌25日は、夜の8時20分から行なわれた100m決勝で優勝したものの、記録は11秒45。モヤモヤした気持ちだったのではないかという問いに、福島はこう答える。

「100mの決勝は『やるべきことができなかった』というのはありましたが、やっぱり五輪に行けなければ話にならないから、優勝してそれを決められたことでホッとしたし、嬉しかったです。一方では、『明日もあるからそこで気持ちに隙間ができてはいけない』とか、いろんなことを思っていました」

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