【箱根駅伝】当日メンバー変更も完全予想。区間エントリーに見る3強の戦略 (4ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 万が一、神野が爆発せず、後ろからの復路スタートとなれば、自分の走りができずに勝負区間と考える7区の小椋祐介にうまくつなげないという危険性も出てくる。そこまで考えれば、3区と4区にある程度の力を持つ選手を配置できる層の厚さがあるのだから、オーソドックスに1区から流れに乗る作戦を選ぶだろう。

 一方、駒大が2区と3区に工藤と中谷を並べたのは、5区に馬場翔大と大塚祥平のどちらを使うか、決めかねたからだろう。馬場、大塚なら、どちらでも1時間19分前後で走ることは可能で、今の神野なら互角に戦えると踏んだのだ。オールマイティーな存在である1区の其田で流れを作り、3区までにトップに立って往路優勝を狙う。復路は、不安の残る6区が不発でも、7区の西山雄介と、後半にアップダウンがある8区を馬場か大塚で勝負という、二段構えの作戦を取ったようだ。

 これに対して東洋大は、酒井俊幸監督の「6区と7区が大事になる」という思いを優先する布陣にした。往路に使うと思われていた口町亮と櫻岡駿を6区、7区に使ってきたのだ。

 そんな作戦を取れたのは、前回の5区、1時間22分14秒で区間11位だった五郎谷俊が、1時間19分台で走れるというめどが立ったからだろう。弾馬を1区と3区のどちらに使うか迷ったようだが、1区で大きく遅れなければ、2区で勇馬がトップに立てるという思いがある。安全策を考えれば、弾馬を1区に使ってトップグループで中継し、2区の勇馬でライバルとの差を大きく広げ、3区、4区、5区はしのぐという作戦が順当だ。

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