陸上・男子短距離がリオ五輪メダル獲得のために、見直すべき現実 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 予選は急仕立ての3走と4走の受け渡しがうまくいかず、決勝進出圏内の3位から順位を4位に落として記録は38秒60。プラス3枠での進出の願いも、第2組の5位が38秒03というレベルの高さに粉砕された。

 高瀬がいなかっただけでなく、エースの桐生祥秀(東洋大)もいなかったという現実はある。だが、主力を欠いても決勝進出を果たしてきたのが日本チーム。その伝統も木っ端微塵になった。

 藤光は「個人の力を上げるのが必要条件だが、合宿でも出てきた者がバトン練習をするだけでナショナルチームの意味が曖昧になっている。個人の走力を上げるためのサポートをしながらも、バトン練習もできるようなチーム環境をつくることが必要だと思う」と語る。

 結局4×100mリレーの決勝では、予選を37秒92のアジア新で通過した中国が38秒01の3位でゴールしながらも、アメリカの失格で銀メダルを獲得した。100mで9秒台を先に出されただけではなく、4×100mリレーでも差を広げられ、世界大会のメダルも日本の銅の上をいかれた現実。そんな中国を、選手や陸連関係者たちがどう感じ、どういう努力をしていこうとするのか。その取り組み次第で、来年のリオデジャネイロ五輪の結果も大きく違ってくるはずだ。

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