【駅伝】駒大4連覇。エースの1区起用は箱根にも影響 (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 勝負をかけた1区。大八木は村山に「途中から行け」と指示をした。彼の実力を出せば大差を付けて2区以降につなげると考えていたからだ。

 それは村山も意図したことだった。「弟の紘太(城西大学4年・アジア大会5000m出場。箱根駅伝予選会1位)は2区を希望してたけど、僕が、シード権を狙うなら1区で流れを作った方がいいと薦めたんです。ふたりで5kmから飛び出そうと話をして。最初からふたりで引っ張り会うのは他大学も予想することだろうから、それの裏をかこうと思っていました」と言う。

 誤算もあった。村山は、第一工業大学のジョン・カリウキ(3年)や日本インカレ1万m日本人トップの平井健太郎(京都大学3年)もいるので、最初の5kmは14分15秒くらいのハイペースになるだろうと予想していた。だが牽制し合ったことにより14分41秒で通過。「5kmから出たが、それまでスローだったのでリズムに乗れず、前へ出ても体が重かった」と村山は語る。また弟の紘太も、予選会のあとの疲労が残り、5日前には38・5度の熱を出していた。そのため他の選手を一気に突き放すことはできず、ジワジワ突き落としていく展開になり、最後は村山兄弟と大東文化大学の市田孝(4年)によるスパート合戦になり、3人が1秒差の中で中継する混戦になったのだ。

 それでも村山兄弟ダブル1区の威力はあった。ふたりのスピードを意識しすぎた東洋大の服部弾馬(2年)は力みで3km過ぎから遅れ始め、駒大から1分10秒差の10位。早大の柳利幸(3年)も5kmからの仕掛けに付いていけず1分7秒差の8位に。警戒をしていた明治大学も1区のスペシャリストの文元慧(4年)に硬さが出て17位。粘っていた青山学院大学の一色恭志(2年)も48秒差と突き放したのだ。

「村山さんが後続を離してくるという予想とは違ったけど、優勝争いをするライバル校には差をつけてきたので」と語る2区の中谷は冷静に走り、城西大と大東大を突き放した。

「去年は5区で区間賞を取ったけど、つなぎ区間だったから。主要区間の2区を同学年の西山雄介が走り悔しかったので、今年は2区を志願した」と言う中谷は、東洋大のエース服部にもわずか9秒しか差を詰められずにタスキをつないだ。そして3区では西澤佳洋(4年)が、東洋大の酒井俊幸監督が試しの意味も持って起用した桜岡駿(2年)を後半で突き放して差を1分22秒に広げる。4区の中村は、湿度が高かったのと、本格的な実戦が半年ぶりだったこともあり、序盤は1km3分を切る程度のペースで自重したが、8km過ぎからは本来の走りを見せて、東洋大との差を2分04秒まで広げて優勝を確実にした。

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