【陸上】男子4×100mリレー、新オーダーで2度目のメダルは十分狙える (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 岸本 勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 200mを制したのは今季好調な高瀬慧(富士通)だったが、彼は5月の大邱国際で3分01秒64を出して五輪出場をほぼ確実にした4×400mリレーの主力メンバー。4×100mリレーを兼ねるのは難しい状況だ。一方で、2010年世界ジュニア200mの金メダリスト・飯塚翔太(中大3年)が、20秒45とA標準を突破して200m2位となり、代表入りを確実にした。

 飯塚は100mで4位。「関東インカレでケガをしたが、調子は上がっていた。100mを走れたことで200mも自信を持って臨めた。100mをしっかりやるようになったのが、200mでの前半の加速につながっている」と成長の手応えを感じている。

 200mで後半に絶対的な自信を持ちつつ、最近は前半の加速力も注目されている飯塚は、将来、朝原に匹敵する4走候補と期待されている。昨年はケガもあって伸び悩んでいたが、ここにきてやっと復調したようだ。これで男子4×100mリレーのオーダーも、江里口、山懸、高平、飯塚と固定できる状況となり、それぞれが自分たちのポジションをしっかり意識して準備ができるのは強みだ。

 ただ、北京の200mで20秒9台の記録しか出せなかった末續が、リレーでは主要区間の2走で100m9秒台のジャマイカ選手と互角に渡り合ったように、集中して力以上のものを発揮できる『リレー力』となると、まだ未知数だ。「僕は朝原さんや末續さんと一緒にやってきた中で、いろいろなものを教わった。だから、それを伝える役割を持っている」と高平が言うように、その意識を若い選手たちに伝え、育てていくのが高平の役目でもある。

 北京五輪の銅メダルは、オーダーが固定し、それぞれの信頼感が高まっていたからこその結果だった。国際舞台で大爆発できる素質を持つ塚原が外れたのは痛手だが、全員が全員、スッポリとはまり込むようになったオーダーで臨める新チーム。五輪2度目のメダル獲得へ、再挑戦の第一歩としては、いいスタートを切れそうな気配になってきた。

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