女王の意地、新人の台頭。日本が車いすテニス強豪国となる日は近い (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 大谷は戦前、得意のスピンショットを生かして「前後に揺さぶる」策を思い描いたが、上地のチェアさばきと多彩なショットが、それを許してはくれなかった。

 最終スコアは、6−2、6−1。「US(全米オープン)の時よりも、作戦がうまくできていた」と、女王は誇らしげに笑みをこぼした。

 一方の敗れた大谷にしても、上地との頂上決戦を通じて、学んだことは多かったようだ。

「不利な状況になっても、上地さんはしっかりディフェンをされていて、その返球が自分にとって苦しいボールになる。どこで前に出て攻めるという選択も、すごく勉強になりました」

 キャリアの短さを言い訳にせず、一日でも早く肩を並べたいという向上心が、目の光と言葉に込められていた。

「東京パランリンピックでも、この対戦を実現したい」

 表彰式で上地が言えば、大谷は「そう言っていただけるのはうれしいし、もっと認めていただけるようがんばらなくては」と意欲を燃やす。

 車いすテニスの強豪国・日本----。

 そう呼ばれる日は、さほど遠くない未来に待っている。

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